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        <title>HDC ビジネス・レビュー</title>
        <link>http://www.harudesign.com/review/</link>
        <description></description>
        <language>en</language>
        <copyright>Copyright 2008</copyright>
        <lastBuildDate>Thu, 18 Sep 2008 15:21:57 +0900</lastBuildDate>
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            <title>H&amp;Mのブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>A Strong Brand. <br />
先日、銀座に国内１号店をオープンしたH&M。<br />
その企業が目指す姿は非常に明確です。『強いブランド』です。</p>

<p>年間売上1兆4356億円。<br />
同じように、売上1兆円を越える世界的なライバルは、GAP、ZARA (INDITEX)、Limited Brandsの３社です。<br />
その中でもH&Mは、突出した収益性を誇り、2007年度は2116億円の利益。利益は率は15％となっています。</p>

<p>今回は、アパレル業界の本命と言われるH&Mのブランド戦略について考えたいと思います。</p>

<p><br />
H&Mが本命と言われる所以は、その収益性の高さです。<br />
収益性が高いと何が良いのか？<br />
それは、苦戦する競合他社が白旗をあげた時に、M&Aができるからです。事実、EU内で販売不振に陥っていたGAPが、一部地域から撤退した時に、H&Mはそのすべての店舗を買取り、比較的にシェアを伸ばしました。このような頂上決戦の中では、収益性の高い企業が、最終的にすべてを手にすることは容易に想像できるでしょう。</p>

<p>なぜH&Mだけが収益性に優れているのか。<br />
高収益で有名なユニクロのファーストリテイリングでさえ、利益率は13.5％です。その利益額は791億円ですから、H&Mとは3倍近くの開きがあります。<br />
同じSPA（販売小売）方式を駆使してビジネスモデルを洗練させて来たライバルの中で、H&Mだけが違った方法を取っていること。それはフロントの戦略。つまり、ブランド戦略です。</p>

<p>H&Mはライバルの中でも、自社のブランドのあるべき姿に、強烈なこだわりがあります。<br />
特に最先端のモードやデザインへのこだわりは群を抜いており、SPA型のアパレル企業と言うよりは、メゾン型の高級ブランド企業と言った様です。</p>

<p>■一貫したブランド・イメージ<br />
広告、雑誌、PRイベント、ファッションショー、コレクションなど、すべてのコミュニケーションに一貫したメッセージを持たせています。H&Mの広告は、他のライバル他社と間違いようがないほど、H&Mのスタイルを貫いています。H&Mが掲げる、"fashion and quality at the best price"を表現すべく、あたかも高級ブランドの一角であるようなコミュニケーション戦略と、実際に店舗に出向いて見る価格の安さとのギャップに、H&Mの巧みなブランド戦略が秘められています。</p>

<p>■創造性の追求<br />
H&Mには100名以上のイン・ハウス・デザイナーが在籍していますが、H&Mの創造性の高さを最も有名にしたのが、著名デザイナーとのコラボレーションです。<br />
シャネルの大御所カール・ラガーフェルドやステラ・マッカートニーと言ったモード界の第一線で活躍するデザイナーが、H&Mのために特別にデザインするキャンペーンを繰り広げています。本来、彼らのような高級ブランドのデザイナーの作品は、１点あたり数十万円はするはずにもかかわらず、H&Mでは数千円から買えるという夢のような話です。<br />
これらのキャンペーンが示す通り、H&Mの通常商品もモードへの意識が強く、SPA型アパレル大手とは一線を画した形になっています。</p>

<p>H&Mは、SPA型の大手アパレル企業と位置づけられていますが、こう見て来ると、真のライバルはGAPやユニクロではなく、メゾン型の高級ブランドではないかと考えられます。<br />
確かに、価格帯はGAPやユニクロと同じですが、アメリカン・ベーシックを主体とするGAPを好む人が、最先端モードを意識するH&Mに乗り移るには、趣向のハードルが高いからです。しかし、ドルチェ＆ガッバーナやジョルジオ・アルマーニといったモード系を好む人が、H&Mを自身が保有するファッションに組み込むことは容易です。実際にコーディネートしてみても、素材の善し悪しは高級ブランドとは歴然の差ですが、一見したデザイン性はそこまで差を感じることはありません。</p>

<p>つまり、GAPやユニクロをはじめとした従来のSPA型のアパレル企業が、『普段着を安く買う』ことを掲げているのに対し、H&Mは、『高級ブランド服を安く買う』という考えを提唱していることが分かります。どちらが、よりバリューが大きいかは明らかです。<br />
私は、消費者が期待する高級なイメージと、実際の価格の安さの差をバリュー・ギャップと呼んでいます。このバリュー・ギャップが大きければ大きいほど、価格設定が自由になり、利幅も大きくになります。つまり、バリュー・ギャップの大きさは、その企業の競争力に直結するのです。<br />
私が、５年前にニューヨークのSOHOにあるH&Mを初めて訪れた時、このバリュー・ギャップの大きさに驚愕したことを今でも覚えています。</p>

<p>現在、日本では低収益に悩む企業が増えています。<br />
それの理由を、不況の性にすることは簡単ですが、本当はバリュー・ギャップが縮小しているために、競争力が低下し、低収益に陥っていることに気づかねばなりません。安いからと言って売れるわけではなく、高品質だからと言って認められるわけではない現代社会が示す通り、目の肥えた消費者の心を引くには、人々が感じるバリューに焦点を定める必要があります。</p>

<p>モダンなイメージ、高いデザイン性、高品質で低価格。これによって、人々が感じる価値、バリュー・ギャップを最大化する。<br />
H&Mのブランド戦略は、多くの日本企業にとって非常に参考になるヒントを与えてくれています。<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review42.html</link>
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            <pubDate>Thu, 18 Sep 2008 15:21:57 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>差別化のメソッド</title>
            <description><![CDATA[<p>映画「オーシャンズ13」で、日本酒の久保田で乾杯するシーンがあります。<br />
サブプライム不況の中枢にあるアメリカ。しかし、今、空前の日本食ブームが巻き起こっています。<br />
レストランの出店数は大きく伸び、フレンチやイタリアンなどの西欧料理の世界にも、「和」のエッセンスを取り入れ、新しい価値を提供しようとする動きが活発化しています。不景気など、どこへやらの様相です。</p>

<p>一方、日本国内では景気減速が顕著になっています。<br />
不動産市況の悪化とサブプライムの追い打ちを受け、経済ニュースでは、挑戦的な企業の話題より、景気悪化の渦に飲まれる話が増えています。</p>

<p>不景気の中でも、差別化でビジネスを拡大するアメリカ。<br />
いつも全体の景気変動に連れてしまう日本。<br />
今回は、不景気でも事業を伸ばす、差別化の重要性とそのメソッドについてお話ししたいと思います。</p>

<p><br />
マンハッタンのスターシェフ、Jean Georges氏。<br />
数少ないNYのミシュラン３つ星レストランの一つです。<br />
彼の料理の特徴は、「和」です。キュウリの冷製スープ、カボスの風味、昆布だしのソース、そして松茸や秋刀魚。和食の伝統的なエッセンスと、フレンチを融合したその料理は、ヌーベル・フレンチという新たな世界を切り拓いています。</p>

<p>Jean Georges氏の料理は、差別化の極みです。<br />
伝統的で保守的なフランス料理と一線を画し、異文化への理解と融合を通して、時代が求める新しい世界観を創り出しました。その戦略は、非常にシンプルなものですが、同時に、勇気のいる試みです。しかし、その姿勢が結果的に、ミシュラン３つ星という形で評価を得る。これは、自らのアイデンティティを突き通した、ブランド戦略の成功とも言えるでしょう。</p>

<p>一方、現在、日本企業の多くが、差別化に苦戦しています。<br />
その証拠に、今回のような景気後退局面に入ると、ほとんどの企業が元気を失ってしまいます。景気の上昇局面では、他社と同じように潤い、後退するとまた、他社と同じように不調に陥る。これは、他社と差別化が出来ていないことを示しています。</p>

<p>多少の景気変動に左右されず、自社の成長を安定的にドライブさせるには、Jean Georges氏のような差別化の追求が重要です。<br />
ここで、私が日頃クライアントに行う差別化のメソッドを簡単にご紹介したいと思います。</p>

<p>１）競合他社の調査<br />
まず、差別化（Differentiation）とは、相対的な比較によって価値を生み出す方法であり、絶対的な価値を追求するオンリーワン的な発想とは、全く違うものです。日本人の気質は、技術の追求を通してとかく『BEST』を目指したがりますが、モノ余りの成熟社会で勝つにはむしろ『DIFFERENT』の方が重要なキーワードです。Jean Georges氏の料理は、フランス料理のBESTではありませんが、明らかにDIFFERENTです。業界内の競合他社と比較して、いかに『DIFFERENT』になれるかがポイントです。</p>

<p>２）市場調査・ターゲット調査<br />
成熟したマーケットでは、業界そのものが頭打ちになっている場合があります。つい決断力が欠け、幅広い顧客ターゲットを追うがために、特化した商品やサービスが作れないでいる。このようなケースが多く見られます。<br />
自社のターゲットを明確にする方法として、雑誌を有効に使うことができます。例えば、女性誌は、究極のターゲットマーケティングです。10代、20代など、各年代ごとに発行されているだけでなく、同年代でもCanCam、ViViなど、趣味趣向の差に注目しています。これらの雑誌と自社商品を重ね合わせることで、自社のターゲットが明確に視覚化されます。ターゲットとは、それほど明確に選定しなければならないものなのです。</p>

<p>３）東から西へ、西から東へ<br />
最後に、私が日頃注目している差別化の方法は、『東から西へ、西から東へ』です。<br />
Jean Georges氏の成功は、まさに東のエッセンスを西の文化と融合させた点にあります。<br />
このように、例えば、関西でビジネスを立ち上げるならば、関東のエッセンスと組み合わせて作ったり、東京で事業を行うのであれば、NYのトレンドを意識したりすることが重要です。つまり、文化の差と、時間軸の差を利用して、ノウハウ的なサヤを取るわけです。</p>

<p>以上が、大まかな差別化のフローです。<br />
幸いなことに、私が担当させて頂いているクライアントを見る限り、不況の影響は今のところ感じられないようです。<br />
是非、ご参考にして頂ければと思います。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review41.html</link>
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            <pubDate>Fri, 29 Aug 2008 13:41:28 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>Wホテル・ブランドに見るビジュアル・トレンド</title>
            <description><![CDATA[<p>都会の喧噪と異空間。<br />
そのエントランスをくぐると、ガラス天井から水が四方の壁をつたって滝のように流れ落ちます。<br />
エレベータでロビー階へ上がると、昼間でも薄暗いフロアに、レッド、ピンク、ブルー、グリーンといったナイトクラブ風の照明。足元から広がるスタイリッシュな白いラウンジソファーの群れ。鮮烈な赤色を放ったバックライトに照らされる艶やかなチェックインカウンター。中央には色彩豊かで、どこか切ないモダンアートのオブジェ。</p>

<p>これは6年前、ニューヨークのタイムズスクエアにある、Wホテルを訪れた時のワンシーンです。<br />
Wホテルは、デザインホテルの代表として、スターウッド・ホテル＆リゾートが世界で展開するブランドです。日本国内第一号が、2011年2月に横浜に完成します。<br />
そして今、スターウッドからは、『エレメント　by　ウェスティン』と『アロフト A Vision of W Hotels』の２つの新ブランドがスタートしています。</p>

<p>今回は、Wホテル・ブランドに見るビジュアル・トレンドについて考えたいと思います。</p>

<p><br />
Wホテル・ブランドは、1998年に開業したニューヨーク店から始まります。<br />
現在、世界に25拠点存在し、今後３年間に27拠点がオープンする予定です。その内の一つに、横浜が決まっています。</p>

<p>Wホテル・ブランド誕生のきっかけは、1984年にカリスマ的なホテリアであるイアン・シュレーガー氏が建てたモーガンホテル・ニューヨークであると言われています。<br />
イアン・シュレーガー氏のキャリアは、まず、Studio 54というナイトクラブのプロデュースで一躍脚光を浴びたところから始まります。アンディ・ウォホール、ミック・ジャガーといった当時のセレブリティを集め、最先端なニューヨークの夜のライフスタイルを提案したことで有名です。<br />
その後、イアン・シュレーガー・ホテルグループを設立。先のモーガンホテル・ニューヨークを皮切りに、マイアミ、ロス、サンフランシスコ、ロンドンと拠点を拡大し、いわゆるブティックホテル（デザインホテルの英訳）の先駆けとして再び脚光を浴びる立場となります。現在、イアン・シュレーガー氏本人は世界最大のホテルグループであるマリオット・インターナショナルと組み、新ホテルブランドのプロデューサーとして活動していると言います。</p>

<p>Wホテル・ブランドは、イアン・シュレーガー氏と直接関係はありませんが、その世界観を大いに引き継いでいるようです。<br />
先のタイムズスクエアのWホテルに見られるように、水や石といった自然素材と、ウォホールなどのモダンアートを連想させるエキセントリックなデザインは、このブティックホテル業界の大きなビジュアル・トレンドとなっています。</p>

<p>日本でも、有名なインテリアデザイナーである森田恭通氏も、ブティックホテルのデザイン・トレンドを押さえているようです。ラウンジスタイル、ナイトクラブ風、モダンアート。フランス料理の巨匠ジョエル・ロブション氏のレストランや六本木ヒルズ、そして香港Wホテルが森田恭通氏に依頼しているように、イアン・シュレーガー氏から始まったブティックホテルと現在の商業店舗デザインは、大きな流れとして一体となっています。</p>

<p>そして現在、スターウッドは、『エレメント　by　ウェスティン』と『アロフト A Vision of W Hotels』という２つの新ブランドをスタートさせました。<br />
『エレメント　by　ウェスティン』は、エコをテーマにしたホテルで、そのサービス品質は名前にあるように、ウェスティン・ブランドで保証されています。エコ、ヘルシー、リラックスといったキーワードをもとに、長期滞在もできるリーズナブルな価格設定でポジショニングされています。近年、エコがひとつのブームですが、確かにエコに特化したホテルはありませんので、差別化の大穴と言えるでしょう。<br />
一方、『アロフト A Vision of W Hotels』というブランドは、名前の通り、Wホテルが保証するファミリー向け長期滞在施設です。Wホテルのモダン・ラグジュアリーな世界観を、手軽な価格で体験できるブランドとして、裾野を広げる戦略です。</p>

<p>このように見ると、モダンアート的なビジュアル・トレンドは今後も継続しながらも、新しいコンセプトが生まれて来ていることがわかります。その一つがエコやファミリーなどのコンセプトです。<br />
また、ハイアットの新ブランド『ANdAZ』第一号は、ロンドンのリバプールストリートにありますが、ここはモダンなデザインとアットホームなコンセプトで作られており、刺激的なWホテルとはひと味違った居心地やヒーリングを重視しているようです。</p>

<p>モダン・デザイン＋より顧客ニーズに特化したテーマ。<br />
これが今後のトレンドになるでしょう。</p>]]></description>
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            <pubDate>Wed, 06 Aug 2008 18:14:11 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>なぜスターバックスは減速し始めたのか</title>
            <description><![CDATA[<p>先日、米スターバックスが、業績不振の６００店舗の閉鎖を計画しているというニュースが流れました。<br />
スペシャルティ・コーヒ―の先駆けとして急拡大を遂げ、世界に６０００店舗以上を展開するスターバックス。その創業者でありCEOのハワード・シュルツ氏が、日本の第一号店の開店に合わせて来日し、こう言ったことを覚えています。<br />
「人々はスターバックスのブランドに魅了されている」<br />
しかし、ここに来て本国アメリカでは、減速が顕著になって来ています。魅了されていたはずの人々が夢から覚めたのか。もしくは、強いブランドにも弱点があったのか。</p>

<p>今回は、スターバックスがなぜ減速し、本来どうすべきだったのか、を考えてみたいと思います。</p>

<p>「スターバックスは、ブランド力がある」<br />
これは、ハワード・シュルツ氏だけでなく、世界中の誰もが感じたことでしょう。<br />
洗練された商品、創造的なビジュアル、一貫したブランド・アイデンティティ。<br />
しかし、その凄まじい神通力も、創業20年を前にブレーキがかかろうとしています。<br />
この減速の理由は何か？<br />
ブランド戦略の視点から、いくつか指摘できます。</p>

<p>第一の理由は、あり過ぎるほど拡大した店舗数です。<br />
発祥地シアトルでは、どこに行ってもスターバックスがあります。街の1ブロックに1～2店舗、オフィスビルにもスタンドが入っています。街を歩けばバス停よりも多いことが分かるはずです。<br />
この強烈な出店攻勢は、初期の戦略としては正しいと言えます。コーヒーショップは、参入壁が低いビジネスなので、タリーズやSBCなどの追い上げをかわすには、競合他社よりも早く拡大し、シェアを広げる必要があります。同時に、あらゆる場所でスターバックの看板を見かけることは、人々の潜在意識へのブランドの刷り込みとしても機能します。ブランドの噂は、人から人へと伝わり、スターバックスを知っていることが、あたかも流行通であるかのようになります。</p>

<p>しかし、これを20年弱も続けて来ますと、さすがに飽きます。<br />
マーケットとは、飽きる生き物なのです。<br />
スターバックスは、強烈な出店攻勢を通して、自らのブランドをコモディティ化してしまいました。一貫したブランドが強みであったわけですが、さすがに同一なものを20年弱も拡大させれば、あえて人に紹介する必要がなくなるほど、日用品になってしまいます。この時点で、もはやスペシャルではないのです。<br />
長期間にわたって変わり映えのしなかった店舗とメニュー。これが第二の理由と言えます。</p>

<p>顧客が他の人に紹介したくなるほど強い支持があれば、その企業は成長し続けると言います。<br />
裏を返せば、顧客がもう紹介したくない、といった時、その成長は止まるのです。</p>

<p>では、どうすれば良かったのか？<br />
一貫したブランド・アイデンティティは正解です。<br />
しかし、変わり映えのない実行戦略は問題です。</p>

<p>ブランドとは、常に若々しく、エネルギッシュに見せて行かなければなりません。<br />
ルイヴィトンは、デザイナーのマーク・ジェイコブスによる芸術的なラインで人々の目を引く一方で、定番商品を売るビジネスモデルが確立しています。定番商品だけでは、変わり映えのない実行戦略に陥りますが、創造的な新作を投入することで、ブランド全体を活性化させることができます。また、ブランド拡張の方法として、これまで手掛けなかった、時計やジュエリーに進出したことも、ブランドにフレッシュなイメージを保たせ続けることができています。</p>

<p>Appleのように、次々と新作を発表し、その度に長蛇の列を生み出す方法もあります。<br />
つまり、マーケットを飽きさせない、ということがポイントです。そのためには、新しいことに挑戦する姿を、ブランドとして常にアピールしていく必要があります。</p>

<p>スターバックスの今後にも、チャンスは大いにあります。<br />
数字の上では、不採算店を閉鎖すれば、解決するように見えるでしょう。しかし、問題は、コモディティ化から抜け出たわけではないことです。スターバックス・ブランドを使った新業態への拡張戦略など、挑戦する姿を見せることで、ブランドに再び力を取り戻すことが可能であり、これが既存業態の活性化策になります。<br />
たとえば、"STARBUCKS/DOLCE" というスウィーツ＆カフェはどうでしょう。<br />
スターバックスが持つカフェの連想と、有名パティシエとのコラボレーションによるブランドの掛け合わせ戦略で知名度を上げ、『スタンド・スウィーツ』といった新しいトレンドを作り、ブランドに若さを取り戻すことができるはずです。</p>

<p>このように、ブランド戦略の視点から考えることで、コモディティ化を脱出する方法は、いくらでもあります。ブランドの『拡張』と『掛け合わせ』を使えば、その方法は無限にある、と言っても過言ではないでしょう。<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review39.html</link>
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            <pubDate>Wed, 16 Jul 2008 10:20:09 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ターゲットで変わるコミュニケーション戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>ブランド展開の最初の関門。<br />
それはコミュニケーション戦略です。実行にはターゲットを決めなくてはなりません。<br />
世界が男性と女性で構成されている以上、そのどちらをターゲットにするかは、マーケティングの専門家でなくても、商品企画の時点で大方決まっていることです。さらに、その商品を販売展開する場合、男性向け商品は、男性的なコミュニケーションを行い、女性向け商品は、女性的なアプローチが必要なことは、多くの人が頭に描くことができるでしょう。しかし、実際に、男性に響くコミュニケーションとは、何か？女性が振り向くポイントは、どこか？具体的な方法論について心得ている人は少ないのではないでしょうか。</p>

<p>今回は、ターゲットによって、コミュニケーション戦略を使い分けることについて考えたいと思います。</p>

<p><br />
結論から言いますと、男性と女性では、響くポイントが違います。<br />
したがって、コミュニケーション戦略も、それぞれのターゲット特性に合わせて、変えて行く必要があります。</p>

<p>男性は、一般に闘争心が強い性質を持っています。<br />
男性が外で仕事し、女性が家庭を守るという構図は、世界中の歴史の中に刻まれている現象です。もちろん、近年、女性のビジネス界での目覚ましい活躍を考えると、闘争心が強いのは男性だけとは言い切れない、新しい時代の兆候が見られます。しかし、いずれの場合も、ビジネス界で活躍するには、ある程度の『戦い好き』な性格が必要です。<br />
例えば、ビジネスソリューションのような男性的な商品を販売する場合、雰囲気や共感で売ることは非常に困難です。逆に、いかにその商品が戦いに役立つのか、確立した理論的と説得力、明確な将来像が必要です。特に、男性は、夢やロマンを描く性質を持っていますから、ブランド・コミュニケーションには、この将来像が欠かせません。乗り心地の悪いポルシェやフェラーリに憧れたり、都内の一等地にオフィスを持つと言う採算性の悪いことを夢見るのは、戦利品を誇示したいと言う、いたって男性的な感覚です。女性には、到底、意味の分からない行動ですが、男性向けのコミュニケーション戦略を立案する場合、この点が非常に重要になるのです。</p>

<p>一方、女性をターゲットにしたコミュニケーション戦略とは、どんなものでしょうか？<br />
メソッドやロジックを好む男性に対して、女性は『共感型』であると言われます。<br />
例えば、サマンサタバサというブランドがあります。ビヨンセやマリア・シャラポア、蛯原友里をプロモーション・モデルとして起用し、急成長を遂げたバッグ・ブランドです。ビヨンセが使っていて可愛い、という『共感』の感覚が、そのまま購買に結びつきます。この場合、商品のスペックや耐久性は関係ありません。誰がその商品を使っているのか、が重要なのです。<br />
一方、サマンサタバサのメンズラインである、サマンサキングズには、プロモーション・モデルがいません。男性は共感型ではありませんので、誰が身につけているかでは買いません。たとえ、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーがモデルになったとしても、それに共感するのはやはり女性であり、男性の購買の理由にはならないのです。</p>

<p>このように、ブランドのコミュニケーション戦略は、ターゲットの性別によって、大きく２つに分類できることがわかります。<br />
男性がターゲットであれば、スペック、理論、将来像、夢など、男性的なキーワードを中心にコミュニケーション戦略を構築する必要があります。<br />
一方、女性をターゲットにしたコミュニケーション戦略は、共感を軸に展開します。その場合、共感できる『モデル』の存在が重要です。このモデルは、有名人であればあるほど威力を発揮しますが、身近な人物でも共感を呼ぶことができます。重要なことは、誰がその商品を使っているのか、を伝えることです。最も避けるべきは、商品そのものにしか焦点を当てない、男性的なコミュニケーション方法です。</p>

<p>このように考えると、あらためて自社が扱っている商品と、そのコミュニケーション戦略を見比べ、ターゲットに合ったアプローチができているか、少なからずヒントになると思います。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review38.html</link>
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            <pubDate>Mon, 30 Jun 2008 12:08:08 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>顧客ロイヤルティとブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>先日、私は会社の社員から学びました。<br />
社内のことで恐縮ですが、いつもと趣を変えてお話ししたいと思います。</p>

<p>それは、社員の知人が私どもの会社に入社を希望している、という話がきっかけでした。<br />
誠に、ありがたいことです。私どものような小規模で、都心から外れた職場で働きたいとは、ある意味普通の感覚ではなく、貴重な心意気です。<br />
が、残念なことに、会社は、既に今期の業績が確定しており、新入社員を採用する予算枠がありませんでした。その旨を伝えると、ある社員がこう言いました。<br />
「可能であれば採用してあげて欲しい。そのために必要であれば、私たちのボーナスをカットしてください」<br />
驚きました。私も会社員の時代がありましたが、その時の私と全然違う。到底、自分を犠牲にするようなことを言えないばかりか、考えもつかなかったことでしょう。</p>

<p>米国大手コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニー名誉ディレクターであるフレデリック F. ライクヘルド氏は、ロイヤルティについてこう定義しています。<br />
「ロイヤルティとは、顧客や従業員などが金銭的もしくは個人的な犠牲を払ってまでも、企業とのリレーションシップを強化したいと望むことである」※</p>

<p>今回は、顧客や従業員とのリレーションシップを通した、ロイヤルティついて考えたいと思います。</p>

<p><br />
先のライクヘルド氏は、成熟産業で成長を持続するには顧客ロイヤルティに頼るしかない、と断言します。ロイヤルティの高い顧客は、みずから無償で新規顧客を集めてくれ、企業を成長させるのです。<br />
例えば、ある既存の顧客が、別の新規顧客を紹介してくれたとします。この既存顧客の企業に対する心理は、次のうちの3番目に位置することになります。</p>

<p>１）満足しているが、特に意見はない<br />
２）機能的・経済的に大変満足している<br />
３）自らの信用を担保にしても紹介したい</p>

<p>このように見ると、紹介してくれる顧客が、いかに自己犠牲の精神のもと、寛大な行動を取っているかが理解できるはずです。<br />
先の、私どもの社員の話で恐縮ですが、万一、入社側が不出来であったり、会社側が評判通りでなかったならば、採用を進言した社員の信用に関わることです。そのリスクを取ってまでも行動を起こす。ロイヤルティの尊さを、あらためて感じます。</p>

<p>しかし、ロイヤルティは、コントロールができません。<br />
それは、顧客が感じることであり、従業員が思うことです。ブランド戦略は、比較的企業側主導で進められる作戦ですが、その3大テーマの一つであるロイヤルティつくりに関しては、イニシアティブは相手にあるのです。意図的につくろうとして、出来上がるものではないのです。さらに、ロイヤルティがあるからと言って、直近の売上高に貢献するとも限りませんから、企業側として大変取り組みにくいテーマの一つです。<br />
しかし、ライクヘルド氏は、こう言います。<br />
「顧客ロイヤルティさえ確保すれば成長できるとは限らないが、顧客ロイヤルティが低い企業が利益成長を遂げることはまずない」<br />
彼の長年の調査によると、熱心な支持者が顧客全体に占める比率は、ほとんどの業界で成長率と直接関係している、と判明したそうです。</p>

<p>では、ロイヤルティとは、どのようなことがきっかけで、生まれてくるのでしょうか。<br />
ライクヘルド氏は、企業トップが重要だと言います。トップが、ロイヤルティに基づくリレーションシップを目指す必要があると。なぜなら、ビジネスの性格上、すべては収益性を追求する活動であり、これを究極に突き詰めると「人よりも金を重視する血の通わない組織」が出来上がってしまうからです。これを防ぐには、企業トップ自身の人間的な姿勢が鍵になります。<br />
トップと従業員のリレーションは、その先の従業員と顧客のリレーションに引き継がれます。これが顧客と企業のリレーションになり、最後はロイヤルティとして跳ね返ってくるのです。収益性を高めるという大義名分のために、従業員に圧力をかけ、サプライヤーに無理を言い、顧客から搾り取る。このような理性が欠如した企業が、長期的に成功するはずがありません。企業トップは、自らの信念や正義を明確にし、かつ、思っているだけでなく、メッセージとして各ステークホルダーに発信することが重要です。<br />
こう考えますと、どこかブランド・アイデンティティの構築手法と似ており、やはり、ロイヤルティつくりはブランド戦略の一環であることがわかります。</p>

<p>さて、冒頭の話の続きが気になるところですが、結局、入社してもらうこととなりました。もちろん、社員のボーナスをカットすることはしません。<br />
しかし、ビジネスとは本当に奥の深いものであり、いつまでたっても自分たちの未熟さを感じます。数字を追いかけているだけでは、成功しない。だからこそ、ビジネスの面白さ、取り組み甲斐を見つけることができるのだと思います。<br />
私たち人間にとって、働くことの喜びは、ロイヤルティにあると言っても、過言ではないでしょう。</p>

<p><br />
※参考文献：DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部　『儲かる顧客のつくり方』　ダイヤモンド社　2007年<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review37.html</link>
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            <pubDate>Wed, 11 Jun 2008 18:10:25 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>A380とシンガポール航空のブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>「最新鋭の翼とやさしいおもてなし」。<br />
シンガポール航空のブランド・コミットメントです。<br />
そのシンガポール航空が、文字通り「最新鋭の翼」、エアバスA380を導入し、先日、東京-シンガポール間を就航しました。総二階建て、650席（最大850席）、構想から16年を費やした世界最大級の旅客機です。その桁外れの機内の大きさから当初は、客席の他にラウンジやエンターテイメントルームも併設されるのでは、との噂がありました。しかし、シンガポール航空が取った戦略は、ファーストクラスを越える完全個室『スイートクラス』を設けることでした。高級ホテルのような贅沢なリネンと、一流の料理、そしてきめ細やかなサービスとともに。<br />
今、航空業界は、その歴史の中で最も厳しい競争に直面しています。高騰する燃料、激しい価格圧力、成熟による差別化要素の欠落。顧客の目から見ると、ほとんどの航空会社のブランドは基本的に同じであり、新鮮さも活力も感じない状況にあります。その価格競争が支配する業界に、一筋の光を注いだのが、A380とシンガポール航空の挑戦です。これにより、今後の航空ビジネスには、新しいニーズの広がり出て来ると考えられます。</p>

<p>今回は、A380によってシンガポール航空のブランド戦略が、今後どう強化されて行くのかを考えたいと思います。</p>

<p><br />
度重なる納入延期でメディアを賑わせ、本当に完成するのかと言われ続けた、エアバスA380。<br />
その期待値の高さもあってか、第一号を就航させたシンガポール航空にも、世界中の注目が集まりました。<br />
シンガポール航空は、いち早い最新鋭機の導入で有名な航空会社です。保有機就航年数も平均約5年と、業界でも大変短いサイクルを誇っています。また、高いサービスレベルにも定評があり、安全性、快適性、ともにトップレベルのブランドと位置づけられています。<br />
先のブランド・コミットメントに見られるように、シンガポール航空が、最新鋭機と高いサービスにこだわる背景には、独自の弱点があるためです。それは、路線です。シンガポールは、人口430万人の小さな国。アジアの経済拠点とは言え、実際にシンガポールを行き来する人は限られています。したがって、その利用用途は、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアを繋ぐ中間経由基地としての役割になります。たとえば、日本からヨーロッパに行くには、直行便もありますが、多少時間がかかるものの、シンガポール経由で行く方法もあるのです。しかし、単に時間がかかるだけでは、全ての人が直行便を選んでしまいます。シンガポール経由に振り向いてもらうためには、何か特別なメリットが必要です。それが、「最新鋭の翼とやさしいおもてなし」です。</p>

<p>シンガポール航空のA380機で、最も注目すべきは『スイートクラス』です。<br />
ファーストクラスを越える席。そのような席は、これまで世の中に存在しない未知の席です。12室限定のこの個室は、スライドドアで仕切られた完全なプライベート空間をつくり、シートは独立型のベッドに変身。ベッドメイキングもしてくれると言いますから、至れり尽くせりです。ジバンシーのリネンとパジャマ、フェラガモのアメニティなど、高級ブランドとのコラボレーション。一流シェフの食事はブランド食器で運ばれ、ドン・ペリニョンやクリュッグといった世界屈指のシャンパンが楽しめる。飛行機の常識を超えた、空飛ぶ高級ホテルと呼んだ方が正しいでしょう。</p>

<p>このスイートクラス。どれほど素晴らしい体験を約束してくれるのか。一度乗ってみたいと思う人は、世界に大勢いることでしょう。そのためのシンガポール経由であれば、飛行時間の問題は、逆に、優雅で特別な旅に置き換わるはずです。しかも、スイートクラスは、エアバスのA380の生産遅延で、当分の間はシンガポール航空が独占する貴重なサービスになる予定です。このあたり、運が良いのか、それとも全てを見越した戦略なのか。いずれにしても、A380=シンガポール航空=世界初の『スイートクラス』という、強烈なブランド・メッセージを世界に知らしめたことは事実です。</p>

<p>今回のスイートクラスに関して、ブランド戦略的に優れた点が2つあります。<br />
まず第一に、ファーストクラスの上にもう一つクラスを作った、という点です。人間は、絶対的な価値判断はできません。何が素晴らしくて、何がそうでないのか。明確に判断できる人は僅かです。しかし、「ファーストクラスよりも上」ということであれば、大方の人は想像が付くのではないでしょうか。どれほどスイートクラスが特別な体験なのかを。これが、当初の噂通り、ラウンジなどにスペースを使っていたとしたら、全く価値判断が出来なかった可能性があります。比較対象としてファーストクラスを用いたところがポイントです。<br />
もう一つは、これでシンガポール航空は世界で唯一スイートクラスを持つ航空会社になり、会社全体のプレミアムが上昇したことです。いわゆるフラッグシップ戦略です。これまでシンガポール航空を知らない人でも、今回のA380とスイートクラスの報道により、高いレベルのブランドであると、多くの人々が再定義したことでしょう。今後、他の航空会社も順次A380を導入予定ですが、仮に他社でスイートクラスを設置しても、シンガポール航空ほどのインパクトを出すことは無理でしょう。一番に挑戦した者が、すべての名声を持って行くのです。</p>

<p>路線の弱点が、他社との明確な差別化を促し、ブランド強化につながった。<br />
価格競争に明け暮れる航空業界において、非常に興味深い事例です。もし、シンガポール航空に路線の弱点がなかったら。もしかしたら、同社のブランド・コミットメントも変わり、他社同様に価格競争をしていたかもしれません。自社の弱点に向き合い、それを克服するほどの価値提供を考えることで、自ずと差別化が実現され、ブランドが強化される。そのような意味では、どのような企業にも、今以上にブランドを強化するチャンスは、いくらでもあると言って良いと思います。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review36.html</link>
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            <pubDate>Tue, 27 May 2008 18:18:54 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>プラダ携帯に見る共同ブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>プラダ携帯が６月に発売されます。<br />
パートナーは、LGとドコモ。プラダが持つファッション性を、ハイエンド携帯市場で展開する共同ブランド戦略です。</p>

<p>共同ブランド戦略（co-brand strategy）は、どうして起こるのか。<br />
それは、特定の市場にブランドと製品が溢れる程投入され、他社製品はもちろんのこと、自社内の製品とも差別化が困難になった時に起こります。他製品と一線を画すことで、新たな認知を呼び戻し、また、成熟した市場で再び活力を取り戻すために行う、ブランド戦略の一手法です。</p>

<p>今回は、プラダ携帯のブランド戦略を通して、共同ブランド戦略のメリットとリスクについてお話ししたいと思います。</p>

<p><br />
現在、国内の携帯電話台数は、5230万台。携帯メーカーは、海外勢も含めて20社に上ります。今後、Appleから話題のiPhoneが投入されることもあり、携帯市場は、ブランド数（携帯メーカー数）、製品数ともに増加し、各社の競争は明らかに厳しさを増す傾向です。<br />
この中で発表されたプラダ携帯は、典型的な共同ブランド戦略です。</p>

<p>共同ブランド戦略のメリットは、資源と時間の短縮にあります。</p>

<p>LGの資金力と技術力をもってすれば、プラダと提携しなくても、ハイエンド機能とファッション性を兼ね備えた携帯電話を創り出すことは十分できるはずです。しかし、この場合、一から独自ブランドを浸透させるために、膨大な労力と時間が必要になります。携帯市場の製品サイクルの速さを考えると、このようなスピード感が乏しい方法は採用できません。また、高級ブランドの顧客のような、表から見えにくいニッチ層に対し、LGがピンポイントでマーケティングを仕掛けられる可能性も未知数です。このような状況を考えると、LGにとってはプラダと提携することで、ブランド認知時間の節約、顧客層の共有という、２つのメリットを享受できます。また、今回の高級ブランドとのコラボレーションが、LG自体のステイタス性を向上させる効果も期待できます。</p>

<p>では、プラダにとってのメリットは、どこにあるのでしょうか？<br />
実は、世界のファッション市場も飽和状態にあります。ジョルジオ・アルマーニやルイ・ヴィトンといった巨大高級ブランド企業の成長が緩やかになる中、躍進が止まらないドルチェ＆ガッバーナや、次々と参入する若手デザイナーブランドが追い上げています。その影響もあるのか、例えばアルマーニの事業展開は、ファッションに留まらず、家具事業、レストラン事業、ホテル事業と、ファッション以外の市場に参入を試みています。また、ルイ・ヴィトンにおいては、インドでの拡大方針を打ち出しており、収益拡大の矛先を新興市場へと向け始めています。<br />
プラダにとっても、この流れは全く関係のないことではないでしょう。業界は違えども、状況は携帯市場と非常に似ています。<br />
プラダのメリットは、事業拡張の可能性の模索と、若年層へのプラダ・ブランドの認知、この２点にあります。<br />
今回のプラダ携帯は、プラダ・ブランドのライセンス貸しではなく、LGと共同で開発をしたという熱の入れ具合です。ファッション以外の市場に対して、プラダ・ブランドが拡張可能なのか、プラダ自身が真剣に力を注いで挑戦する姿勢が見て取れます。また、他の老舗ブランド同様、主力顧客層の高齢化に伴い、事業が先細りになる危険性があります。携帯電話という、比較的若年層に馴染みがあるマーケットでプラダの名を広めることで、世代交代をスムーズに進め、この状況を乗り切る狙いもあるでしょう。</p>

<p>ドコモのメリットは、ドコモ・ブランドの活性化と、高価格帯携帯市場のシェア拡大です。<br />
auの追い上げ、ソフトバンクの参入により、苦戦が続くドコモです。ブランドとしてエネルギーを取り戻すべく、活性化要素をプラダ携帯に求めることができます。また、ドコモ自身のブランド・エッセンスとして、法人取引に代表されるように、ハイエンドユーザーへの強みがあります。このエッセンスが、高価格帯携帯市場と重なるため、シェア拡大に向けて相乗効果を生みます。続くiPhoneも同じ理論の上で展開されるはずです。</p>

<p>このように、競争が激化したマーケットでは、共同ブランド戦略はひとつの有効策です。<br />
一方、リスクも同時にあることを忘れてはいけません。共同ブランド戦略は、上手く行けば「最高」、上手く行かなければ「最低」になる戦略です。つまり、失敗した場合、自らのブランドを傷つける結果を招きます。<br />
たとえば、今回のプラダ携帯は、ver.2、ver.3と続くのかです。もし続かないのであれば、今回購入したプラダ・ファンは、次はどこの携帯買って良いものか、困惑する可能性があります。振り返れば伝説となり、大切な顧客が振り回されなければ良いのですが、それも今回の第一弾の売れ行き次第といったところでしょう。<br />
もう一つのリスクは、ファッション・ブランドのプラダにとって、本当に携帯電話市場が、ブランド拡張の矛先として最適な場所なのかです。アルマーニのように、家具、レストラン、ホテルであれば、ラグジュアリー・ライフスタイルという関連性があります。もちろん、考えようによっては携帯電話もライフスタイル・ツールの一つですが。このハイテク路線へのブランド拡張が正解かどうかを見極めるには、もう少し時間が必要なようです。<br />
しかし、今後、携帯電話を中心に個人のライフスタイルが変わって行く時代です。その大きなトレンドの中で、世界的なファッション・ブランドとして先手を打った理由は、リスク以上のリターンがあると考えたからに他ならないでしょう。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review35.html</link>
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            <pubDate>Thu, 15 May 2008 10:21:34 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>フラッグシップ戦略でステイタス性を創る</title>
            <description><![CDATA[<p>一杯、2万1000円のカクテル。<br />
先日、ホテルオークラ神戸が、市内で開かれるルーブル美術館展にあわせて発表しました。フランス産の高級コニャック、ルイ13世を使ったオリジナルカクテルです。<br />
「こんな高額なものを頼む人がいるのか」<br />
と思われる方もいると思いますが、答えは、頼む人はいません。では、なぜ、ホテルオークラ神戸は、このような発表を行ったのか。彼らの狙いは別にあるからです。</p>

<p>少なくとも、この企画は、２つのことを達成しています。<br />
１つ目は、常識はずれの価格設定によって、多くのメディアが興味を持ち、記事になりました。人が驚くようなニュースを自ら創作することで、無料の宣伝を行ったのです。良く見かけるPRの方法です。<br />
２つ目は、誰も頼まない2万1000円のカクテルですが、ホテルとしての格を上げることに役立ちます。高級な演出ができることを示すことで、ホテルオークラ神戸のステイタス性を強化することになります。実は、４ヶ月前には、名古屋東急ホテルが同様のルイ13世のカクテルを、一杯5000円で発表しました。これは、実際に飲んで頂くための価格設定であることが分かります。しかし、ホテルオークラ神戸は、あえて普通の人が手が出ない価格を打ち出すことで、プレミアム感の創出を狙ったのです。</p>

<p>さて、今回は、ブランドのステイタス性を築くための手法について考えたいと思います。</p>

<p><br />
ステイタス性を築く手法を、私は、フラッグシップ戦略と呼びます。<br />
自社のブランド・ポートフォリオ内に、あえてフラッグシップとなる商品を据え、全体のプレミアムを向上させる戦略です。分かり易い事例は、ホテルのスイートルームです。</p>

<p>どれほど高額なスイートルームが用意できるかが、そのホテルの格を表すと言います。プレジデンシャル・スイート（他の呼び方をする場合もあります）は、最も高額な部屋で、通常１泊100万円。最高級ホテルでは、１泊200万円～250万円となります。<br />
「そんな高い部屋に誰が泊まるのか」<br />
と思われるでしょう。しかし、先のルイ13世のカクテル同様、日常的に宿泊してもらわなくて良いのです。実際に、有名ホテルに本日のプレジデンシャル・スイートに空きがあるか聞いてみて下さい。多くの場合、空いていると思います。つまり、ホテルのステイタス性を高めるために保有をしている部屋なのです。<br />
では、空きがもったいないから全てリーズナブルな価格で販売したらどうでしょう。これがビジネスホテルです。効率は高まりますが、ステイタス性は消え、競争のポイントは機能と価格に重点が置かれます。同じホテル業界ですが、全く違う戦い方になります。</p>

<p>このフラッグシップ戦略。よく見ると、意外に幅広い業界で展開されています。<br />
輸入車業界では、ベンツのSクラス、BMWの7シリーズ、アウディのA8は、いずれもフラッグシップ・カーと呼ばれるラインです。しかし、各社にとって、これらの車種は、主力ブランドではありません。ベンツの最販売車種は、Eクラス。BMWの中心顧客は、3シリーズのオーナーです。そして、BMWが1シリーズに力を入れているように、各社とも低価格戦略車を充実させる方向にあります。合理的に考えれば、これらのコア・ターゲットに経営資源を集中するべきでしょう。しかし、ブランド戦略を熟知している彼らにとって、最上級車の存在は、ブランドのステイタス性を維持するために、どうしても必要な道具なのです。仮に、BMWが3シリーズだけに絞ってしまうと、国産車やアルファロメオと比較され、ブランドの強さが半減してしまうでしょう。</p>

<p>ルイヴィトンにおける、マーク・ジェイコブスのブランド・ラインもフラッグシップ戦略です。彼が生み出す奇抜なバッグは、実用性に欠け、普通の人は買いません。しかし、彼の作品が究極のポジションを取ることで、他のLV商品にプレミアム感が広がり、全体のステイタス性が高められています。<br />
クレジットカードや航空会社のポイントカードなども、簡単ですが、フラッグシップ戦略が使われています。アメックスのブラックカードは、有名なフラッグシップ・カードであり、JALマイレージバンクにおいても、クリスタル、サファイヤ、ダイヤモンドと、利用頻度によってサービスに差が付けられています。</p>

<p>このように、自身のブランド内で垂直なライン・アップを用意することで、誰でもフラッグシップ戦略を用いることが可能です。<br />
売上が伸びない、商品の魅力が落ちて来た、などの状況に直面している場合は、この手法を試されると良いと思います。その場合に重要なことは、上に向かってライン・アップを作ることです。下に向かって作ると、既存商品がフラッグシップになるため、全体のブランド価値が下がります。今、主力で売っている商品よりも、上位の商品を作ることがポイントです。いずれにしても、フラッグシップ商品は、そうそう売れません。しかし、既存商品との対比が明確になり、逆に今売っている主力商品に割安感が生まれてきます。こうなれば、ブランド全体のステイタス性が高まる上に、既存商品の活性化にも役に立ちます。　不思議な現象ですが、これが私たち人間の感覚なのです。世界中で行われているブランド戦略では、あえて顧客の上を行く、フラッグシップ戦略が使われています。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review34.html</link>
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            <pubDate>Thu, 01 May 2008 13:42:01 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>Googleに学ぶインターナル・ブランディング</title>
            <description><![CDATA[<p>"We don't just want you to have a great job. We want you to have a great life. We provide you with everything you need to be productive and happy on and off the clock."（我々はあなた方に、良い仕事に出逢うだけでなく、素晴らしい人生を見つけてもらいたい。そのために必要なものはすべて提供する）<br />
グーグル創業者のラリー・ペイジ氏が、入社希望者に語った言葉です。<br />
素晴らしい一言であり、いかにもグーグルらしい社風を物語っています。この壮大で魅力的なインターナル・ブランドに、多くの若者達が心を引かれています。米FORTUNE誌によると、全米で最も働きたい企業ベスト100社の中で、グーグルは２年連続トップを獲得しています。世界中から優れた人材が集まるグーグルにとっては、人材募集の苦労もどこ吹く風といったようです。</p>

<p>グーグル以外の企業でも、同じようなメッセージを発すれば若者達の心を掴むことができるかも知れません。しかし、果たして、本当に同じようなことを言うことができるかが課題です。あなたや私の会社は、「必要なものはすべて提供する」と宣言できる潔さがあるでしょうか。もし、宣言できないのであれば、私たちの会社は、優秀な人材確保という点において、いつもグーグルに負けていることになります。</p>

<p>さて、今回は、グーグルの社風を通して、21世紀のビジネス・マーケットで優れた人材を獲得する、インターナル・ブランドについて考えたいと思います。</p>

<p><br />
企業のブランドとは、何で構成されるのか。<br />
一般には、『顧客』、『従業員』、『株主』の、３つのステークホルダーへの対策で構成されています。日頃、考えられている企業のブランド戦略とは、『顧客』向けの対策が大部分を占めていますが、実は、残りの２つのステークホルダー向けも、重要な要素になります。なぜなら、これら３つのブランド構成要素は、互いに影響し合い、一つのブランド・アイデンティティを形成しているからです。先のグーグルの入社希望者へのメッセージは、『従業員』向け対策であることは明らかですが、その精神は『顧客』が感じるブランドと重なり合い、相乗効果をもたらしています。</p>

<p>『従業員』向けのブランド対策は、社内のことであるがゆえに、実は、おろそかになりがちです。特に、働き手不足に悩む多くの日本企業が、足元の社風を改善しないまま、優秀な人材が来てくれたらと願っている姿は、誰の目にも矛盾に映るでしょう。お金をかけた求人広告や、素敵なキャッチフレーズに引かれるのは、自己確立が未熟で、意思がはっきりしない層の人材であり、本当に優れた層は自身のアイデンティティがしっかりとした人たちです。このような自己を明確に持っている優秀な人材を獲得するには、企業側の社風も明確なアイデンティティを備える必要があります。これを、インターナル・ブランディングと言います。</p>

<p>インターナル・ブランディングは、今後、日本企業にとって非常に重要な課題になることが予想されます。<br />
その理由は、３つあります。</p>

<p>まず、10年前と比べて日本の役割が変化しました。<br />
労働型産業は中国とインドが担い、日本は頭脳型産業へ移行する必要があります。この過程で、当然、働く人々の意識や、社風にも進化が求められます。<br />
しかし、すべての日本企業が、この変化に対応できているわけではないようです。依然として、ミッションやノルマは上層部で決定し、大部分の社員は黙々と与えられた仕事をこなして行く。ホワイトカラーの仕事でさえも、工場労働的な発想で捉える傾向があります。<br />
このような過去の慣習を乗り越える方法として、グーグルの有名な『20%ルール』があります。すべての従業員は、自身の勤務時間の20%を創造的な研究活動に使って良いというものです。週５日勤務であれば、1日は自分の専門分野の開拓やキャリアアップにつながる研究を行うことができます。つまり、ノルマが降ってくる労働的な働き方ではなく、自らミッションを見つけ出し、自分の意思で実行する働き方に導く制度です。<br />
よく考えればわかりますが、本当に優秀な人材は、「言われなければやらない」や、「何をして良いかわからない」といったことはあり得ないでしょう。そのため、グーグルでは、優秀な人材の要素として創造性を重視するとともに、自分で見つけたミッションを最後までやり抜く『強い意志を持っている人』を望んでいるようです。</p>

<p>次に、優秀な人材は、向上心が強いゆえにキャリアアップを望みます。<br />
しかし、同時に、それは好条件での転職の機会を与えることになり、これに対して日本企業は寛容でない点があげられます。一度仕えたら死ぬまで離れない話は、戦国時代のことであり、今後は日本もグローバルな常識に適応して行く必要があります。コンサルティング会社のマッキンゼーによれば、優れた人材は、20年、30年先まで用意されている安定雇用よりも、5年先までしか見えなくても刺激的な仕事がしたい欲求があるという調査結果が発表されています。実力に自信がある人材ならば、企業を渡り歩くことは当然であり、これに対して企業側が柔軟でなければ、その企業にはいつも安定指向で挑戦を嫌う、極々普通の人材が集まることになります。したがって、優れた人材を自社に引き寄せるためには、彼らのキャリアアップを手伝い、成果によっては大幅な好条件を提示する社風をつくることが求められます。</p>

<p>最後に、日本企業は、優秀な人材も、普通の人材も、一緒くたに扱う傾向があります。職位や報酬においてあまり差を付けない。これが日本流の『秩序』というものですが、グローバル・マーケットで人材獲得競争が激化する中、この秩序がどこまで維持できるかが問題です。日本企業がこの秩序を守る背景に、一度入社してしまえば社員は『身内』であるという意識が少なからずあり、身内に大きな差を付けることは日本の慣習としてやりにくいことです。しかし、近年、企業業績が復調しても、会社員の平均給与は減少傾向をたどっています。これは、日本市場が依然と低成長で推移する中、もしものためのキャッシュフローを潤沢に用意しておきたいという企業側の姿勢です。ただ、実力に自信がある人材であれば、この状況をずっと見守っているはずはないでしょう。海外の条件の良い企業へ流出する可能性は大いにあり、彼らを引き止める何らかの対策が必要です。</p>

<p>普通の人材が100人辞めるよりも、優れた人材を1人失う方が、企業にとってダメージが大きい時代に入りました。人海戦術で勝利できるのは、今後は中国かインドだけでしょう。これからの時代は、優れた人材を魅了する企業は、ますます優れた人材で構成され、そうでない企業とは大きな競争力の差が生まれると考えられます。これは全世界で起きている人材の争奪戦であり、それゆえにインターナル・ブランド戦略が重要な役割を果します。世界的にも数が少なく、自己のアイデンティティを確立している優秀な人材を振り向かせるには、顧客マーケティングと同様のブランド戦略が大切であると言えます。<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review33.html</link>
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            <pubDate>Tue, 15 Apr 2008 02:04:09 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ジャガー買収に見るインド・タタ自動車のブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>イギリスの伝統を誇る自動車ブランド、ジャガーとランドローバー。<br />
先週、インドのタタ自動車が、不振が続くフォードから23億ドルで買収しました。そして今週、タタ自動車は、今夏にも東京証券取引所に上場予定であることが判明しました。資金調達規模は1000億円を越えると言われています。</p>

<p>タタ自動車と言えば、今年初めに28万円の超低価格自動車の発表をした、大手財閥タタ・グループの自動車部門です。グループの総帥であるラタン・タタ氏は、フォーチュン誌の"25 most powerful people in business"において、2007年に最も影響力のあった人物として、19位にランキングされています。25位のルイヴィトン・モエ・ヘネシー会長のベルナール・アルノー氏を越えてのランキングであることを考えると、世界的にも相当な存在感が出て来ている人物です。</p>

<p>欧米の歴史あるブランドを、次々と買収する新興国の企業グループ。<br />
今回は、インド・タタ自動車のブランド買収を通して、新興国企業が展開するブランド戦略の勝算について考えたいと思います。</p>

<p><br />
インド国内において、あらゆるビジネス領域で展開し、常にその上位に君臨するタタ・グループ。<br />
自国のすべてを手にしたラタン・タタ氏にとって、次なる野望は、当然ながらインド国外への挑戦です。すでに鉄鋼分野では、昨年の英鉄鋼大手コーラス買収で大きな注目を集め、メジャーの仲間入りを果たしました。今後は、自動車分野での世界進出を成功させるにあたり、ラタン・タタ氏がどうしても手に入れなければならない武器が、『ブランド力』です。</p>

<p>人は、知らないものは買わない---<br />
これは世界共通の人間の深層心理であり、ブランド構築の基本的な考え方です。<br />
インド国内であれば、業界２位のタタ自動車の名を知らない人は少ないはずです。しかし、国外から見れば、自動車メーカーとしては小規模な企業（売上高8000億円）であり、最も世界の注目を得た28万円の超低価格乗用車の発表が、多くの人がその名前を知った最初の機会でしょう。これまでも韓国の自動車メーカーとの提携や、ニューヨーク市場への上場など、タタ自動車に関する情報は度々あったものの、世界に激震を与えたニュースは先の超低価格車のプレス発表です。したがって、タタ自動車の認知は、極々最近、世界で始まったと言って良いでしょう。<br />
しかし、今後、28万円の超低価格車を世界各国で販売するにあたり、さらなる知名度と、信頼感を得て行く必要があることは明らかです。つまり、ブランド力の向上です。そのツールとして最適だったのが、今回のジャガーとランドローバーというプレステージ自動車メーカーの買収であると考えられます。この２つのブランドの補充により、世界の自動車業界の中で『知っている感』を創出し、タタ自動車をグローバル・ブランドとして認知させて行く、大きな一歩を踏み出すことが可能になります。</p>

<p>また、この買収作戦は、今後予定されている東京証券取引所への上場にも好影響をもたらすはずです。新しく得たブランドの知名度を大いに活用し、日本国内での資金調達をスムーズに進めることができます。つまり、ブランド力の強化は、各国での売上高に貢献するだけでなく、資金調達も容易にさせます。調達資金を、次のブランド買収に投入することで、さらなるブランド力の向上を生み出し、それをテコにまた次の資金調達を行う。ブランド戦略を利用したエクイティファイナンスが成立します。</p>

<p>さて、このタタ自動車ですが、どこまでブランド買収を重ねて行くつもりなのか。<br />
ブランド・ポートフォリオの観点から見ると、ジャガーとランドローバーのブレシテージブランドは、自動車の購買層におけるトップレイヤーをカバーします。一方、28万円の『ナノ』ブランドはボトムレイヤーを独占する勢いになるでしょう。したがって、ブランド・ポートフォリオとして完成させるには、今後はミドルレイヤーを狙えるブランドの補充が必要です。今夏に予定されている東京市場への上場も、日本のミドルレイヤー向けの自動車メーカーへのM&A攻勢では、との声も聞かれます。同じ日に、トヨタがスバルへの出資を最大17％に引き上げる方針を発表したことも、単なる偶然でしょうが、非常に興味深いタイミングです。いずれにしても、タタ自動車が、日本の自動車メーカーに興味あるか否かにかかわらず、近い将来ブランド・ポートフォリオの足りない部分をM&Aで足して行くことは、理論上、最も起こりうることと言えます。</p>

<p>一方、今回買収したジャガーなどの慢性的な赤字会社の再建を、疑問視する声もあります。<br />
ブランド・ポートフォリオが完成するまで、タタ自動車のM&Aは繰り広げられることが予想されますが、その過程において買収したブランドが依然と赤字を出し続けるようでは、資金調達とブランド戦略の好循環が終わる日が来るだろう、という意見です。<br />
このような見方に対し、中国Lenovoによる、IBM ThinkPadの買収事例が、一つの参考になります。買収後のThinkPadは、中国国内の旺盛な需要により、Lenovoが当初予想した以上の好業績をあげています。今回のジャガー再建も、右肩上がりのインド国内の需要をダイレクトに掴むことで、誰も成し遂げなかった黒字化が実現することさえあります。これら世界第一位と第二位の人口を誇る２大新興国の需要は、これまで世界が出会ったこともないほどのスケールであり、サブプライム危機で多少の水が差されたとしても、これで終わるはずはありません。逆に、サブプライムで引き上げられた投資資金が、再び向かう先は間違いなく、世界で最も高い成長を遂げている新興国でしょう。このような背景から考えても、タタ自動車のブランド買収戦略には追い風が吹いており、大きな勝算があると言えます。タタ自動車が、そのブランド・ポートフォリオを完成させる日は、私たちの想像以上に早く訪れるかも知れません。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review32.html</link>
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            <pubDate>Thu, 03 Apr 2008 15:05:51 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>米国における未公開企業の最前線（後編）</title>
            <description><![CDATA[<p>昨年の米国ベンチャー企業の成長ランキングでは、サブプライムローンに関わる会社が上位に食い込んでいます。<br />
これは、サブプライム危機が表面化する前の成績です。このことからも、サブプライムはベンチャー企業にとっても空前のバブルだったことが分かります。しかし、現在、これらの中には存続すら危うい会社もあるでしょう。まさに、天国から地獄へ、といった状況です。その企業の多くが、金融の中心地であるNYを含めた東海岸を拠点としています。<br />
金融サービスはもちろん、それに関わる広告・マーケティング、人材サービス、設備、ITなど、これらサブプライムで潤った未公開企業は、今年の成長ランキングで姿を見ることはないでしょう。したがって、今後の米国ベンチャーの動向を見るには、東海岸のビジネスを除いて考える必要があります。</p>

<p>もともと、アメリカの東海岸と西海岸では、ビジネス風土が大きく異なります。<br />
さて、今回はこの風土の違いと、西海岸的なビジネスについて考えたいと思います。</p>

<p><br />
先日、このビジネスレビューの読者であるS氏から、西海岸のベンチャーについて興味深い情報を頂きました。<br />
彼は、現在、シリコンバレーで新しいビジネスの発掘を行っています。その一つに、Kiva.org（<a href="http://www.kiva.org/" target="_blank">http://www.kiva.org/</a>）というベンチャー企業の話がありました。</p>

<p>Kiva.orgは、『マイクロファイナンス』のネット企業であり、現在、注目を集めているそうです。<br />
マイクロファイナンスとは、一般の人が$10、$20のレベルで事業投資することです。Kiva.orgは、サイトを軸に世界中の人々と起業家を結び付ける、SNS型の投資プラットフォームを提供しています。例えば、アフリカに住む起業家がクリーニング屋さんを始めたいとした時、kiva.orgに登録している一般投資家に5%～8%の配当を払ってお金を調達した方が、地元の銀行から10%で借りるよりも得になります。一方、一般投資家にとっては、$10、$20のレベルでの投資が可能になり、これまでにない、新たな投資機会を得ることができるというビジネスモデルです。<br />
普通の一般人がこのSNSサイトを見て、興味を持った企業に気軽に投資したり、投資を受けた起業家の方も事業概況報告をブログで行ったりしています。ブログですから、普通に日記と写真です。何ともカジュアルな投資活動に感心しますが、さらに驚くことに、この企業は、NGOであり、そのミッションは世界平和を掲げています。つまり、富を持つ先進国の人々が、発展途上の起業家にパーソナルなレベルで資金提供することにより、富を再分配しようということです。</p>

<p>この事業が、画期的なベンチャービジネスとして注目されるのは、いかにも西海岸的なビジネス風土です。東海岸の権威的なビジネス風土では、このような不安定要素の多い投資サービスを認めるはずがありません。（とは言え、サブプライムローンは認め、大火傷を負っていますので、いささか矛盾していますが）<br />
しかし、この会社のプロジェクトには、既に、他の多くの企業が参画しています。YouTube、Google、Yahoo、Microsoft、 Lenovo、 paypalなどの企業です。例えば、Kiva.orgサイトのハードウェアはMicrosoftが提供。決済手段は、paypalが提供しています。</p>

<p>西海岸の目の付けどころは、目先の『儲け』から入るのではなく、『世界にあったら良いだろう』といった理想論的な発想が特徴です。YouTube、Google、Yahooなど、その背景に同様のアイデンティティが存在します。これが、西海岸ビジネスにおけるブランド・イメージの根底を支えていることがわかります。<br />
一方、東海岸は、より権威的な事業を好み、資金力を活かした資本主義的なビジネス風土を育んでいます。『儲け』と『社会貢献』を混同することは、まずあり得ません。したがって、SNSのようなビジネスを理解するには、ビジネス風土があまりにも違いすぎていると言えるでしょう。</p>

<p>S氏によると、シリコンバレーは、まだ、サブプライムの影響をそれほど受けていないようです。<br />
今後、米国は、サブプライムの震源地である東海岸から、ビジネス風土が異なる西海岸へ、成長の拠点が大きくシフトする可能性があります。広告・メディア業界においては既に、東海岸を拠点とする従来型のTV、新聞、雑誌といった媒体から、Yahoo、Google、Youtube、Facebookなどの西海岸のインターネットメディアへ、確実に影響力が移っています。そこに東海岸ビジネスの中心である金融サービスに打撃を受けたわけですから、しばらくはこの地域での成長期待は遠のくでしょう。<br />
逆に、西海岸に資本と人材が流れ、これまで以上に活性化するシナリオも考えられます。今後の西海岸のベンチャービジネスに注目をしたいところです。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review31.html</link>
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            <pubDate>Wed, 26 Mar 2008 17:25:29 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>米国における未公開企業の最前線（前編）</title>
            <description><![CDATA[<p>ベンチャービジネスの中心地である米国。<br />
その最前線の動向を知るには、Inc（インク）という雑誌があります。<br />
日本にもベンチャー系の雑誌がいくつかありますが、Incがそれらと大きく違うところは、全米の未公開企業を対象に、成長率上位5000社のデータを毎年発表している点です。このデータを利用すれば、総合順位から、今どのような業種が成長率が高いのか、また、各業種別においてどのようなビジネスが頭角を現わし始めているのか、時代に先駆けて発見することができます。<br />
例えば、2007年の米国の広告業界で急成長した企業の特徴は、YahooやGoogleに代表されるPay Per Click（クリック課金）方式の広告ではなく、Pay Per Lead（引き合い獲得課金）方式を手掛けていたベンチャーでした。この事実が示しているものは、クリック課金型広告がコモディティ化の時代に入ったことと、顧客は広告にさらなる高い精度を求める傾向が顕著になっていることです。そして、2008年には、さらにPay Per Lead方式の広告ビジネスが、米国内で大きくシェアを伸ばすことが予想できます。</p>

<p>今回は、最前線の米国ベンチャービジネスの成長動向を通して、今後のビジネス・トレンドを考えたいと思います。</p>

<p><br />
さて、このIncという雑誌。<br />
私も定期購読でここ数年、アメリカから取り寄せているのですが、非常にユニークな雑誌です。<br />
まず、未公開企業の成長率ランキングを算出するには、各社の決算情報が必要なはずです。上場企業のデータならば、証券取引所を通して発表されるため入手は簡単ですが、まだ公開していない、いわゆる草の根のベンチャー企業の決算情報をどうやって集めるのか。最初の疑問です。<br />
しかし、Incの情報収集の仕組みは、至ってシンプルです。<br />
１）全米の未公開企業がIncに対して、過去３年分の決済情報を送る<br />
２）Incはそれを元に、成長率ランキングを算出し、発表する<br />
不思議なことは、未公開企業が好んで自社の機密である決算情報をIncに提供する点です。これにも理由がありました。</p>

<p>米国は、ムーディーズやS&Pに代表されるように、格付を重視する国です。<br />
フォーブスのビリオネア・ランキングは有名ですが、この他にも、住みたい都市のランキングや、上司にしたいCEOランキングなど、米国には様々な格付が星の数ほどあります。そして、この格付によって、企業や自治体、プロフェッショナルたちの評判が左右され、個々の収益や業績にも大きく跳ね返って来る。そのため、米国のベンチャー企業にとって、Incのランキングに掲載されることは、社会的評判と信用力の向上につながり、さらなる成長へ向けてのステップになるというわけです。</p>

<p>さて、今回は2007年に急成長した、広告・マーケティング業部門のベンチャー企業を見て行きましょう。<br />
先ほどお話しした通り、Pay Per Lead方式のビジネスが躍進を遂げています。ランキング上位に入った<a href="http://www.hydranetwork.com/" target="_blank">HydraMedia</a>は、従業員40名のビバリーヒルズにあるベンチャー企業ですが、この３年間の成長率は6,000%。売上は70万ドル（約7,500万円）から4300万ドル（46億円）に跳ね上がっています。この成長を主導したのが、『You pay only for Result』のキャッチコピーが示す通り、Pay Per Lead方式のビジネスです。同じカリフォルニアにある<a href="http://vantagemedia.com/" target="_blank">Vantage Media</a>も、同様の手法で、売上高を160万ドル（約1億7000万円）から4800万ドル（約51億円）に伸ばしています。<br />
Pay Per Lead方式の広告ビジネスには、いくつかの種類があります。Vantage Mediaの場合は、検索エンジン、ポータル、アフィリエイト、メールの各広告媒体を研究し、最も投資対効果（ROI）が高い資金配分方法を解明し、このマトリックスを独自システムを通して顧客に提供することで、ある一定以上の成果を保証しています。<br />
日本国内のネット広告代理店の多くは、検索エンジン広告への単純な出稿代行が主業務であり、頭脳よりも体力を使った営業に終始していますが、今後米国と同様に、クリック課金型広告の貧弱なROIの認識が顧客サイドで高まるにつれ、何らかの手を打つ必要が出て来るはずです。その場合、Pay Per Lead方式への移行が有力ですが、同時に、最適な資金配分を可能にするマトリックスの解明と、実行する独自システムが必要になります。これまで、ネット広告代理店とは言え、営業マンが手動で取り次いで来たアナログな国内のネット広告代理事業。今後は、真にテクノロジーを利用し、人間の能力を超えたサービスができるかが課題でしょう。または、Vantage Mediaのような米国ベンチャーのロジックを、ロイヤリティを払って使わせてもらう方法も残されています。</p>

<p>このような新しいビジネスのトレンドを知ることは、ブランド戦略にとっても重要です。<br />
『新しい』ということは、企業にとって、ブランド活性化要素となるからです。逆に、『古い』ということが、ブランドを強化することはありません。歴史や伝統は、立派なアイデンティティの一つですが、それだけではブランド力はとは言えないからです。やはり、ルイヴィトンが伝統的なモノグラムを作る一方で、毎年、斬新な新作を発表する絶妙なバランスが、その企業のブランドの奥深さを創り上げています。したがって、既存事業を拡大させながらも、時代のトレンドを読み、新しい発想を絶えず仕入れておくことが重要であると思います。</p>

<p>次回は、急成長している他の業種も見て行きたいと思います。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review30.html</link>
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            <pubDate>Wed, 27 Feb 2008 18:32:05 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>米大統領選に見るブランド戦略</title>
            <description><![CDATA[<p>『CHANGE』<br />
何とシンプルなメッセージなのか。<br />
2008年の米大統領選は、民主党内で２大候補が接戦をするという、異例の事態に世界中の興味が集まっています。実績を訴えるヒラリー・クリントン氏に対し、変革を叫ぶバラック・オバマ氏。マーケット・リーダ－対チャレンジャー。この競争構図の分かり易さが、多くの人々の興味を引き付ける要因になっています。</p>

<p>その中で、『CHANGE』という、誰にでも理解できる、たった一言を掲げるオバマ氏の戦略。<br />
立候補当初はなかった、この一言が、今、着実に彼の躍進の追い風となっています。<br />
明確なブランド・アイデンティティを作り出し、一貫した情報発信を行う。ブランド戦略の基本中の基本を押さえた手法です。<br />
なぜ、この明確さが必要なのか。その理由の一つに、米大統領選は、広大なアメリカ合衆国全土を舞台にした、壮大な競争であることがあげられます。ニューヨークからシアトル、サンフランシスコまでの、東西南北の合計距離は、実に日本からインドまでの距離と同じです。物理的に細かな政策を語り歩くことは不可能であり、単純かつ強いメーッセージが、最終的に威力を発揮します。</p>

<p>今回は、米大統領選の民主党候補者争いにおける、オバマ氏とクリントン氏のブランド戦略について考えたいと思います。</p>

<p><br />
企業にとっても、個人にとっても、自身のことを一言で表現することは難しいことです。<br />
様々な経験や長い歴史が重なり合い、今の自分を構成しているからです。その膨大な構成要素を整理し、一言に集約することは、並大抵の努力ではありません。しかし、社内にしろ、顧客にしろ、人の支持を集めるには、この難題を実行するところに真の強さが生まれてきます。これが、ブランド・アイデンティティです。</p>

<p>バラック・オバマ氏は、これを見事に実行しています。<br />
『CHANGE』。この言葉は、小さな子供でも理解できるほど、単純でストレートです。本来は、「どうCHANGEするのか」という、その内容の質が問われても良いはずですが、オバマ氏の『CHANGE』は、内容以前の競争威力を生み出しているように見えます。それは、『オバマ氏＝CHANGE』、『クリントン氏＝NOT CHANGE』という、両者のブランド・アイデンティティの競争です。実際に、クリントン氏が、『NOT CHANGE』なわけでも何でもありません。初の女性大統領は、大きなCHANGEになることでしょう。しかし、オバマ氏の『CHANGE』キャンペーンが繰り広げる一貫した強いメッセージが、あたかも両者をそのようなイメージの対立に見せているのです。</p>

<p>ブランド戦略の驚異的な力は、このアイデンティティが人々に伝染するところです。<br />
以前、お話ししたアップルやヴァージンの事例。消費者が、これら革新的な企業の製品を持ったり、関わったりすることで、あたかも自分自身も先進的でクールな存在になった気になり、『自分＝クール』というアイデンティティの欲求が満たされます。<br />
同様に、オバマ氏の『CHANGE』も、人々のアイデンティティに伝染します。オバマ氏を支持することで、自分自身も『CHANGE』というアイデンティティを手に入れることができるのです。先にお話ししたように、個人にとって、自身のことを一言で表現することは難しいことです。自らのアイデンティティを明確に把握して生きている人は極々僅かです。そこに、『CHANGE』という、単純で強いアイデンティティの持ち主が現れたらどうでしょう。是非そのアイデンティティを自分も共有したい、と感じることは、至って普通のことなのです。</p>

<p>一方、クリントン氏は、その組織力、資金力を活用したキャンペーンが最大の特徴です。前大統領のビル・クリントン氏が側にいることから、ブランド戦略的に見ると、マスターブランドは、ビル・クリントン・ブランドとなります。成功した政治家ファミリーであり、今や代表的な『老舗ブランド』です。今回の候補者争いでは、明らかにマーケット・リーダーの立場であり、多くのマーケット・リーダーが実践するように、そのブランド・アイデンティティを、豊富な実績と経験、安心と信頼、洗練された知識などで構成しています。要するに、権威的なイメージの創出です。</p>

<p>このように両候補のキャンペーン活動を注意深く見ると、それぞれのポジションと戦略がはっきりしてきます。<br />
もちろん、両陣営には、このブランド戦略を取り仕切るコンサルタントがいるはずです。<br />
オバマ氏の場合、その若さゆえに、クリントン氏よりも経験力で弱みがあります。しかし、この点を逆手に取り、『CHANGE』キャンペーンを行う、『若き変革者』の姿を演出しています。また。変革者にふさわしい、斬新なCMの放映、Youtubeの利用、先進性が感じられるウェブサイトやロゴマークなど、一貫したブランド・イメージにも気を配られていることが分かります。<br />
一方、クリントン氏は、老舗ブランドとしての権威が強みです。同時にそれは、変革から遠いイメージという点で、弱みでもあります。このイメージをどう払拭し、老舗ブランドの強さをアピールできるかが、今後のポイントでしょう。<br />
実際に、どちらの候補が勝つのかと言う点については、政治の話になりますのでここでは避けますが、ブランド戦略的に見ると両者の戦略には学ぶところがたくさんあります。<br />
特に、このところのオバマ氏の躍進は、『CHANGE』を軸にしたブランド戦略が効いていることは明らかです。最終的に、強いブランドは、活力があり、エネルギッシュであると言われています。そのような意味でも、今後のオバマ氏の『CHANGE』戦略に注目したいところです。<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review29.html</link>
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            <pubDate>Mon, 18 Feb 2008 11:43:44 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>視点による価値創造をどう進めるのか</title>
            <description><![CDATA[<p>健康エコナのヒットは、花王の事業戦略に大きな可能性をつくりました。<br />
それは、新たな収益源を得たというだけでなく、『花王＝健康』というブランド・イメージを確立することに成功したからです。その後に投入された、健康エコナ マヨネーズタイプ、健康エコナクッキングオイル、ヘルシア緑茶は、このブランド・イメージを最大限に活用したものです。しかし、もっと驚くべきことは、この健康エコナ誕生のきっかけとなったのが、全く別の部門である工業用品の研究だということです。工業用の油を研究しているうちに、消費者向け健康油の製品化に成功した。まさに、技術と発想を組み合わせた、『視点による価値創造』が実現された瞬間です。</p>

<p>視点による価値創造は、どのようにして起こるのか。今回は、優れた技術を持つ日本企業にとって、今、最も必要とされる着眼点について考えたいと思います。</p>

<p><br />
技術と発想を組み合わせて誕生した、花王の健康エコナ。<br />
工業用油の研究の過程で発見したとはいえ、それを消費者向け製品に活かすとは、相当な発想力が必要です。しかし、この『発想力』とは、明らかに技術的な発想力ではありません。技術的な発想力であれば、工業用油を産業界を越えて消費者用に使おうという考えも浮かばないでしょう。では、どのような発想力なのでしょうか。</p>

<p>それは、マーケットの視点に基づく発想です。<br />
『視点による価値創造』とは、マーケットの『視点』です。近年、顧客視点が重要であると叫ばれていますが、顧客の目線で考えることは間違いなく重要です。しかし、上の事例を見る限りでは、単に顧客視点を意識するのであれば、産業界の顧客に限定してしまい、健康エコナが消費者向けの製品として誕生する理由は説明できません。このことが示すように、顧客視点の重要性は変わらないものの、視点による価値創造を行うには、より広い視点、つまりマーケットの視点が必要であることがわかります。</p>

<p>では、マーケットの視点とは、どのように開発するのか。</p>

<p>IBMを再建した人物として有名な、ルイス・ガースナー氏。90年代前半に瀕死のIBMを立て直した方法は、サービス事業の強化でした。それまでのIBMは、世界一のスパコンに代表される技術力が価値創造の源泉でしたが、急速な日本の技術力の台頭により、従来のような競争優位を維持できない状況に陥っていました。一方、時代は、企業運営においてITが根幹となるにつれ、技術の単品販売ではなく、より経営視点から見た総合的なサービスを求めるようになります。ルイス・ガースナー氏は、このトレンドを読み、ハードのIBMを、サービスのIBMへと進化させて行きました。ガースナー氏が作ったこの流れは、今日のIBMでも健在であり、様々な分野でのコンサルティングを用いた上流過程からアプローチ手法は、今やIBMのブランド・アイデンティティとなっています。<br />
昨年の12月に、日本HPの社長に就任した小出伸一氏も、ルイス・ガースナー氏の手法を評価し、「顧客が経営やビジネスに困ったとき、最初に相談してみようと思われる戦略的パートナーになりたい」と話していることからも、ガースナー氏は誰よりも早くマーケット・ニーズを読んだことが分かります。</p>

<p>このことが示すように、マーケットの視点を開発するには、まず、トレンドを読むことです。<br />
時代はどう進むのか。企業や消費者のニーズは、どのような傾向があるのか。特に、世界中で起きているメガトレンドは、最重要トレンドであると言って良いでしょう。健康エコナにおける『健康トレンド』や、IBMにおける『経営戦略トレンド』も、どちらもメガトレンドです。トレンドは、マーケットに影響を及ぼし、マーケットは顧客に影響を与えます。したがって、顧客視点は重要ですが、同時にそれは今現在のニーズを切り取った形であると割り切り、大きな時代の流れの中で先手を打つには、より広い視点が必要です。</p>

<p>例えば、BtoB企業の場合、日本が持つ高度な技術力に、経営戦略相談のような知的サービスを合体させることにより、世界が求める上流アプローチが可能になります。優れた技術であっても、それは一つのアウトプットに過ぎず、時代はより本質的な課題を相談できる戦略バートナーを求めています。顧客が、自社の技術に興味を抱くまで待っているのか、それとも、顧客と経営視点を共有しながら課題を解決し、その過程で自社の技術を導入するのかでは、大きな違いが生まれます。<br />
このようなアプローチは、顧客の本質的課題とダイレクトに接するため、『視点』が磨かれ、次のマーケット・ニーズを予測することにも貢献します。また、仮に将来、中国やインドといった新興国が日本と同等な技術力を持ったとしても、日本が経営視点から解決するインテリジェンスを蓄積するのであれば、脅威にさらされたり、真っ向から競争することは避けられるでしょう。今現在の競争力を強化する上でも、また、将来の競争力を維持する上でも、有効であると言えます。</p>

<p>「日本は欧米に並んだ」と言う人もいます。『技術による価値創造』は、その通りでしょう。しかし、一歩進んで『視点による価値創造』においても並んだのか、と言うと、この点においては私たちは全く歩き始めたばかりと言えます。ビジネスにおいてトレンドを読むことが重要なのであれば、新しい価値創造のトレンドも、必ず日本に訪れることでしょう。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review28.html</link>
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            <pubDate>Fri, 08 Feb 2008 15:29:22 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>国内市場再生の鍵となる価値創造のトレンド</title>
            <description><![CDATA[<p>「日本マーケットには、もはや魅力がない」<br />
世界からはこのように見られていると、最近の新聞やニュースコラムで盛んに言われています。<br />
では、どこのマーケットであれば、魅力があるのか。経済評論家やコラムニストが口を揃えて言うのは、中国やインドをはじめとしたBRICsマーケットです。彼らの理由は簡単です。中国やインドは、２ケタ近い成長を続けています。世界の３分の１を占める膨大な人口も、年々増加しています。つまり、経済と人口がともに拡大しているところに投資が集まるという、至ってシンプルな理由です。一方、日本の状況は、対局にあると。人口減少は続き、経済成長も良くて数パーセント。北米や中国、インドの成長に、運良く連れ高している状況であると言います。<br />
確かに、数字上は、このまま日本マーケットの魅力が薄れて行くように見えます。ただ、前提条件として、我々日本人が、全く暢気で、お人好しで、知恵を絞って努力することができないのであればの話です。</p>

<p>パイの大きさが固定化している国内市場でどう事業を広げるのか。そして、引いては海外展開を進め、日本マーケットに再び魅力を取り戻すことができるのか。今回は、グローバルマーケットの視点から、国内マーケットの攻略方法を考えたいと思います。</p>

<p><br />
まず、経済成長していないマーケットは、パイの大きさが決まっているということを、念頭に置かなければなりません。現在の国内市場は、成長が止まっていますから、パイの大きさは昨年も、今年も、来年も変わらないと考えることができます。むしろ、人口減とともに、緩やかにパイは縮小するでしょう。<br />
このような環境で、自社の事業を拡大し、毎年売上を向上させるということは、同時に他の誰かが売上を減らし、その事業が縮小しなければ成立しません。国内市場の大きさは固定化されており、椅子取りゲームのような状態になっているからです。日本のマーケットで売上を増やすということは、他社から売上を奪うという、大変人聞きの悪い話になります。しかし、露骨に低価格を押し進め、競合他社の売上をストレートに奪うばかりが方法ではありません。グローバルマーケット全体のトレンドを見ると、もう少し有効な方法が見えてきます。</p>

<p>限られたパイの中で、自社の事業を拡大し、売上を上げるには、『新しい価値を創造』が重要です。『新しい価値の創造』とは、よく企業のトップがビジョンに掲げる言葉ですが、具体的には以下の３つの要素で実現するものと考えられます。<br />
１）価格<br />
２）技術<br />
３）視点</p>

<p>『価格』において新しい価値を創造するということは、低価格ということです。従来1000円したものを、500円で売る。現在の中国やインドの台頭を支えているのは、この価値です。先日、インドのタタ自動車が10万インドルピー(約28万円)の超価格破壊なクルマを発表した背景にも、価値の根源を『価格』に置く戦略が見えます。<br />
『技術』においての新しい価値は、現在の日本が得意とする分野です。高画質DVDのブルーレイ・ディスクに代表されるように、日本企業は世界的な支持を集める優れた技術を持っています。技術立国の日本と言われる理由です。<br />
『視点』の新しい価値とは、現在のアメリカが得意とするやり方です。たとえば、グーグル。学生だった創業者のラリー・ページ氏とセルゲイ・ブリン氏が、世界で最も優れた検索エンジンの技術を生み出しただけでは、今のような巨大な企業にはならなかったでしょう。その後の広告事業という『視点』を加えたことにより、はじめて彼らの技術はビジネス的な価値創造を生み出すこととなりました。そのような意味では、アップルも技術だけではなく、視点で価値を作る戦略です。最近の日本企業では、任天堂が唯一、この視点の価値創造によって、Wiiのヒットを実現させた代表です。</p>

<p>もうお分かりだと思いますが、ここからグローバルマーケットのトレンドが見えてきます。<br />
経済の近代化の流れは、米国→日本→中国・インドの順で起こっています。これに価値創造のトレンドを重ねると、視点（米国）→技術（日本）→価格（中国・インド）となります。つまり、近い将来、『視点を軸にした価値創造』は、必ず日本に来るということです。</p>

<p>優れた技術を保有しながらも、低成長に甘んじている日本に、首を傾げているのは私だけではないでしょう。しかし、少し引いてグローバルマーケット全体の流れを見ると、まだまだ私たちがキャッチしきれていないトレンドがあるようです。パイが決まっている国内市場においても、『視点』に価値創造を求めることで、従来商品のリプレイスを実現し、事業拡大を行うチャンスは山ほどあると考えられます。なぜなら、多くの日本企業は依然として『技術』に価値創造の軸を求めており、次の価値創造の軸は『視点』となるはずだからです。Wiiの成功は、その大きなトレンドの序章です。優れた技術を追求すると同時に、優れた視点も加える必要がある。我々日本人が、国内市場を視点による価値創造で戦い、その最先端の手法をアジアや世界に広げることにより、再び日本に注目を集めることができるのではないかと考えています。</p>

<p>次回は、この『視点による価値創造』を行うにあたり、具体的にどのように進めるかを考えてみたいと思います。</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review27.html</link>
            <guid>http://www.harudesign.com/review/review27.html</guid>
            <pubDate>Thu, 31 Jan 2008 14:06:07 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>所得格差がマーケティング戦略を変える</title>
            <description><![CDATA[<p>NYで働く知人が、先日、ショックな話をしてくれました。<br />
それは、テレビで日本の所得格差に関するニュースが流れていた時の話です。</p>

<p>「アメリカの中流層って、具体的にどのくらいの世帯所得か知っていますか？」<br />
とっさに私は、日本ならば年収500万円から1000万円くらいだろうか、と頭に浮かび、そう答えると、知人は首を横に振り、こう教えてくれました。<br />
「年収5万ドルから25万ドルが、アメリカではミドル（中流層）と定義されているのですよ」</p>

<p>5万ドルは日本円で530万円ですから、ひとまず正解でした。が、25万ドルは2650万円にもなります。<br />
世帯年収2650万円以下は中流である、という事実。彼の話はこう続きます。<br />
アメリカでは、ミリオン（つまり億）単位の所得を取っている人たちも大勢いるため、あえて中流層を定義すると25万ドル近辺までを含むことになると。ただ、中流層といっても5万ドルと25万ドルでは大違いであり、マーケティングの視点からは全体を2つのグループに分けて考えるそうです。それが、アッパーミドル（上級中流層）と、ロワーミドル（下級中流層）。この２つのグループに働きかけるマーケティング戦略は、同じ中流層向けでも全く種類が違うと言います。</p>

<p>さて、日本でも所得格差が注目であり、いつかはアメリカを追うことになるかも知れません。今回は、所得格差によって変わるマーケティング戦略について考えたいと思います。</p>

<p><br />
まず、アッパーミドルとロワーミドル、この2つのグループの特性を見てみましょう。</p>

<p>アッパーミドルは、収入面で何らかの成功を収めた人々です。企業の幹部、医療・法律・金融など各分野でのスペシャリスト、中小企業の経営者などが、このグループに属します。彼らがここまでの成功に至った理由の一つに、他よりも多くの知識を得て来たことが挙げられます。1日24時間という同じリミットの中で、他よりも成果を出すには、時間ではなく、頭脳で稼ぐしか方法がないと知っている人々です。したがって、このグループの特性は、『教育』に非常に興味を持っていることです。子供の教育はもちろん、自分自身においても、常に教育的な視点を持っています。<br />
もう一つの特性は、『価値を見抜く』ことを心がけていることです。価値やチャンスが見抜けずに、アッパーミドルに到達する人は稀でしょう。したがって、この層は、自分の価値観がはっきりしているグループです。あまり世間の流行や、他人の意見に左右されることはありません。野球のバッターに例えるならば、いろいろなボールに手を出さず、打つべきボールだけ、必ず打ちに行くタイプです。</p>

<p>一方、ロワーミドルは、一般のホワイトカラーから、自営業者、中小企業の管理職が含まれます。このグループの特徴は、年収5万ドルに近づくにつれ、世間の流行や他人の話に関心があることです。自身の価値観はあるものの、それとは別の次元で、むしろ社会との協調性を重んじるタイプです。したがって、同世代が家を買うと、同じように家を探し、車を買い替えると、同じように新しい車が気になります。また、この協調性は、家庭では『家族思い』や『ファミリー志向』として発揮されることがあります。<br />
もう一つの特性は、『節約志向』であることです。価値よりも、価格に引かれるグループです。これは、将来の家族の増加や、老後の人生設計を考えた場合、節約を重視することは当然と言えるでしょう。したがって、高価なものよりも、お得なものを好む傾向があり、賢い出費を心がけます。勤勉に働き、節約を心がけ、幸せな家族を持つ。これが、このグループの特性と言えます。</p>

<p>さて、次に、この2つのグループに効果的なマーケティング戦略を考えてみましょう。</p>

<p>アッパーミドルをターゲットにする場合、マーケティングで効果を上げるには、『教育的視点』と『洗練された価値観』に応える戦略である必要があります。教育的視点とは、単に商品の魅力をアピールするだけでなく、それが必要とされる背景や、時代を先行する考え方などについて、明確な理論をもって教えてあげることが必要です。その商品を購入することで、他よりも知識レベルでアドバンテージが得られる。つまり、知的な側面から組み立てる脱コモディティ化の手法です。<br />
もう一つの『洗練された価値観』に応えるには、商品やプロモーションのアイデンティティを際立てさせることが重要です。アッパーミドルの価値観はそれぞれ明確ですが、その種類は多種多様あり、マス・マーケティングが通用しません。彼らは、マス・マーケティングのような売り込みには応えず、自ら商品を選ぶ姿勢が強いため、数ある商品の中から選ばれるほどの商品個性の強さが必要です。</p>

<p>対照的に、ロワーミドルには、マス・マーケティングが効きます。協調性が強いため、皆が買うものは、自分も欲しくなります。TVコマーシャルのほとんどが、このロワーミドルを狙ったマーケティング戦略であることは明らかです。コマーシャルで紹介される商品は、お得な価格帯、ファミリー志向、社会の流行を前面に出したものが多く見られます。これらはロワーミドルの特性を押さえた戦略と言えるでしょう。このグループをターゲットとしたマーケティングを行うには、絶えず流行やライフスタイルのトレンドを追いかける必要があります。逆に、トレンドさえ押さえ続ければ、マーケティング戦略の成功率は高まるということです。</p>

<p>まとめると、アッパーミドルには、『知的アドバンテージ』を。ロワーミドルには、『トレンド』を、ということが戦略の基本になると考えられます。<br />
これは、BtoCだけでなく、BtoBにおいても同じことが言えます。商品が高額になるほど、決済者はアッパーミドルに属するため、『知的アドバンテージ』でのアピールが重要になります。一方、小額商品は、ロワーミドルに属する決済者になるため、『トレンド』を前面に出した説明が効果的です。</p>

<p>欧米では、その歴史的背景から、クラス社会が存在しており、階層に合わせたマーケティング戦略やブランド戦略が巧みに練られています。日本は中流層が主体となって来ましたので、マス・マーケティング一辺倒でしたが、ここに来て近年の所得格差により、所得グループに合わせたマーケティングが徐々に確立しつつあります。マーケターとしては、変わりゆく日本の所得層に対して、常に最適な戦略を投下できるように、アメリカ型の所得階層マーケティングを参考にするのも一つの方法と言えるでしょう。</p>]]></description>
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            <pubDate>Wed, 23 Jan 2008 10:22:59 +0900</pubDate>
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            <title>2008年日本市場のキーワード</title>
            <description><![CDATA[<p>今年最後のレビューは、来年に向けてのビジネス界の展望です。<br />
2008年は、何が求められるのか。企業として、ビジネスマンとして、または個人として、どのような心構えが必要なのか。ブランド戦略の視点を交えて、重要となるであろうキーワードを考えたいと思います。<br />
「2008年に注目される言葉は、すでに2007年に兆候が見られる」という仮説のもとに予測をしたいと思います。<br />
来年初めて起こる事象は、さすがに現時点で言い当てることは不可能です。したがって、今年の兆候が来年増幅する、もしくはピークをを迎えるという視点から、2008年に訪れる潮流を捉えたいと思います。</p>

<p>まず、「グローバル」という言葉。もう何年も前から叫ばれてきたキーワードですが、2008年はさらに加速します。これまでグローバルと言えば、海外マーケットのことでした。国内から見ると海の向こうの話であり、国内マーケットへの影響は軽視されてきました。しかし、2007年は中国の躍進に加え、インドの本格的な台頭、ロシアの復活と、次々と成長市場が生まれる中、世界から見た日本市場の地位は徐々に低下の傾向にあります。事実、日本のGDPの世界ランクは、年々下がっています。さらに、追い打ちをかけるような、国内の少子化による人口減少。2055年には日本の人口は1億人を割る試算が出ています。GDPは人口と相関関係がありますから、日本市場はますます先細りの状況が続く予定です。</p>

<p>一方、金融をテコに海外で攻勢をかける欧米企業。2007年は、アジアの成長市場に積極的な投資を進めるかたわら、弱体化した日本市場の資産を端から買い拾う動きも顕著化しました。外資系金融グループによる、国内ホテルやゴルフ場の買収は、その一例に過ぎません。日本国内で展開する再生ファンドの多くが、その原資を欧米の投資家から調達しており、日本のM&Aは海外マネーによって繰り広げられているのです。</p>

<p>しかし、ここに来て米国のサブプライム問題が勃発しました。しかも、終結のメドが立たないと言う、米国の金融グループにとっては前代未聞の危機です。急速な資金力の低下は、中国やアラブの政府系ファンドに助けを求めるという異例の事態にまで発展し、もはや世界を駆け巡る投資マネーのオーナーが誰なのか分からなくなって来た状況です。時代は、まさにグローバル乱闘劇です。</p>

<p>圧倒的な人口で支える新興アジアの成長力と、欧米の金融攻勢とオイルダラーに挟まれた日本市場。もはや、世界第２位の経済大国という自負に浸っている状況は、刻々とタイムリミットを迎えようとしています。<br />
しかし、逆境の中にこそチャンスは存在すると言います。2008年の日本企業の動きは、まさにこの逆境を克服する動きが強まるでしょう。その例として、日本の代表産業である大手電機企業は、すでに手を打ち始めています。例えば、東芝は経営資源を自社の強みである半導体事業へ集中させるため、大胆な事業編成を行っています。東芝EMIなど、ノンコアである音楽や映像事業を売却し、逆にソニーから半導体製造ラインを1000億で買いました。「半導体の東芝」という、自社のブランド・アイデンティティの洗練です。その努力は、今年の同社の株価の推移を見れば、市場に評価されていることがわかります。一方のソニーも、ロボット事業の撤退や半導体製造ラインの売却などを経て、自社の強みである高品質なオーディオビジュアルに資源を集中する動きがあります。2008年は、ソニーにとってもブランド復活となる大きな年になると予想できます。また、日立も「世界で勝てない事業は続けない」と宣言しており、グローバル視点からコア・コンピタンスを高める方向にあります。</p>

<p>このような流れから、2008年は、『選択と集中によるブランドの復活』が、最大のテーマになると考えられます。現時点では、電機業界の動きが目立ちますが、今後は他の製造業はもちろんのこと、銀行や証券、建設などサービス分野にもこの動きが波及することでしょう。グローバル化の加速の流れから、日本だけ例外な市場を維持することは不可能です。世界の中の企業として、その存在意義を考えるならば、自ずと選択と集中を行い、自社のブランド・アイデンティティを高める道が見えて来るはずです。そのような意味で、日本の2008年は、大きく復活する企業と、行動に移せずジリ貧になる企業が顕著化する年になると考えられます。</p>

<p>また、ビジネスマンとして、私たちにも同じことが言えます。<br />
私たちは、グローバル乱闘劇の時代に生きているのです。外は混沌としています。団塊の世代が生きた、高度成長期とは全く違う状況です。このような時代を生き抜くには、社会での存在意義を見直し、自らのアイデンティティを定め、それに徹底して取り組む姿勢が重だ要と思います。つまり、個人にとっても選択と集中が必要なのです。じっとして混沌な時代に埋もれてしまうか、それとも立ち上がって光り輝くか。それは、ひとえに、私たち個人のビジョンと行動にかかっています。<br />
このレビューを読んで下さるユーザは、向上心の高い方々だと思います。是非、2008年を素晴らしい飛躍の年とするために、アイデンティティの洗練と徹底した行動をもって、自分たちのビジネスに向かって行きましょう。逆境にこそチャンスありです。長年の夢をかなえる、大きな一歩を踏み出しましょう。<br />
</p>]]></description>
            <link>http://www.harudesign.com/review/review25.html</link>
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            <pubDate>Thu, 27 Dec 2007 14:53:40 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>強いブランドの共通点</title>
            <description><![CDATA[<p>今年も残りわずかとなりました。<br />
今回は、これまでの総集編として、強いブランドとは何かを整理したいと思います。</p>

<p>結局、強いブランドの共通点は何なのか。<br />
顧客を魅了し、優秀な人材を引きつけ、社会に注目される要素。これまでブランドについて、様々な視点からお話しして来ましたが、私は次の一言だと思います。<br />
それは、『徹底した挑戦』です。<br />
強いブランドは、常に挑戦的です。新しい価値を生み出そうとする活力。社会のルールを大きく変えようとする姿勢。強いブランドに、消極的な企業は存在しないのです。<br />
そして、強いブランドは、ただ挑戦するだけではありません。徹底的に挑戦するのです。その勢いに、競合他社は翻弄し、顧客は熱狂するのです。</p>

<p>今回は、今年のまとめとして、強いブランドを実現するためには何が必要なのかを、もう一度確認したいと思います。</p>

<p><br />
「欧米企業は、やる時は徹底的にやる」<br />
先日、ある金融機関の方とお会いした時の話です。<br />
欧米のファンドと、日本のファンドの大きな違いは、戦略の徹底ぶりにあると言います。今日100万株売りたい。100万株という単位は、市場の値段を動かしてしまうボリュームですが、とにかく今日売りたい。その時に違いが現れると言います。<br />
欧米ファンドは、ストップ安になろうが、その日『売る』と決めたら、一気に売り切るそうです。100万株全部売って、ポジションをその日から変える。一方、日本のファンドはというと、同じ100万株を売る場合、希望の値段で売れない時は翌日に持ち越すため、結局その日は10万株程度しか売れない。全体の10%です。残りの90万株は明日以降の仕事となります。しかし、この方法だと明日も10万株しか売れませんから、最終的に全ての保有株が売れる時期は10日後となるわけです。<br />
注目したいのが、日本のファンドがチョロチョロとやる中、欧米ファンドは徹底して仕事に臨む点です。やらないなら、やらない。しかし、やる時は、徹底してやる。<br />
このような姿勢の違いは、各国のブランド戦略でも見られる現象です。</p>

<p>レビューにも度々登場しますが、アップルの徹底ぶりは世界中で賞賛されています。<br />
iPodを初めてリリースした時、上記と同じような状況を目にしたことを覚えているでしょうか。一気に仕掛けるアップルに対して、競合他社は類似品の開発を試みました。しかし、アップルは、数ヶ月後に、自社の製品をも否定するような全く異なる新作を発表します。この時点で最初に出したiPodは古くなってしまうわけです。それを追いかけていた競合他社は、類似品開発が無意味化し、戦意を失うことになります。つまり、競合がチョロチョロと進む中、アップルの徹底したマーケティング戦略が圧倒的にライバルを引き離し、最終的に市場を制した事例です。</p>

<p>実は、日本にも、この種の会社が存在します。<br />
携帯通信企業としてのソフトバンクです。ボーダフォンを買収しての参入ですが、『ソフトバンクの携帯』は今年で定着してしまいました。見事なブランド戦略と言えます。話題性のある料金体系や機種、ブランドイメージを表現する広告を次々と打ち出し、市場での存在感を一気に高めました。そこには、携帯電話市場に