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【新時代のブランド戦略 vol.4】
地方都市企業の都市型ブランディング

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2010/04/03

地方経済が、急速に縮小しています。
経済産業省から発表された『日本の産業を巡る現状と課題』。このレポートによると、1996年以降の10年間のGDP比較で、東京圏、名古屋圏は5%から6%の成長を遂げたのに対し、関西圏、地方圏は-6%から-2%成長と、事実上の経済後退になりました。さらに、今後10年の人口増減予想では、東京圏の人口は1.6%の増加に対し、地方圏は7.1%の減少。今後25年間はますます深刻で、東京圏が4.4%減少に対し、地方圏は18.5%もの人口減少が予想されています。

地方経済とともに衰退するのか。それとも、東京圏へ打って出て生き残りをかけるのか。
今、地方企業が揺れています。

今回は、東京圏をターゲットにした都市型ブランディングについて考えたいと思います。

およそ20%もの人口減が、今後25年間で予想される地方都市。
経済力は、その地域の住む人々が基盤となるため、人口減は地方企業にとって深刻な問題となりつつあります。置き換えるならば、売上高の20%が喪失し、業界の20%の企業が消滅し、引いては社員の20%が危機にさらされることとなります。町おこしをはじめ、地域活性化の対策をいくら打っても、根本的な人口が減ってしまっては、打つ手がない状態です。

一方、日本全体の人口減少が避けられない中で、唯一、それほど痛みを受けない地域は東京圏です。
下の図は、経済産業省の『日本の産業を巡る現状と課題』の抜粋ですが、東京圏とその他の地域の差は歴然としています。これは、東京圏でも一定の人口減少があるにもかかわらず、その巨大なマーケットの力がゆえに、他の地域から常に人が流れ込んで来る特性があることを示しています。つまり、極端な言い方をすれば、世界で日本の経済力が後退する中で、国内で残された『良質なマーケット』は、東京圏しかないと言うことです。

マーケティングは、時に、魚釣りに例えられます。
良い漁場で釣りをすれば、釣れる確率は上がります。一方、魚のいない漁場でいくら釣りをしても、釣れるような奇跡は起きないのです。マーケティングとは、この漁場を探し当てる理論と方法であり、これを上記のデータに当てはめると、今後の日本では東京圏が唯一の良い漁場であることを示しています。

マーケティングが漁場探しであれば、ブランディングとは針やルアーのことです。
漁場が変われば、当然、住んでいる魚の種類も変わります。魚の種類が変われば、使う針やルアーも変える必要があります。鮮やかな柄のルアーを好む魚もいますし、季節によって好みが変わる魚もいます。このように、ブランディングとは、特定の魚(ターゲット層)に響くような仕掛けを綿密に作る作戦を言います。大事なことは、今まで使っていた針やルアーを使い回そうとしても、それは人間の勝手であり、魚は振り向いてくれないと言うことです。人間の都合ではなく、魚の都合で考えなければなりません。だから針やルアーを取り替える必要があるのです。

さて、地方都市の企業が生き残りをかけるのであれば、今後は東京圏に商圏を広げなければならないことは明らかです。
そこで重要となるのが、針やルアーを取り替えること。つまり、ブランディングです。地方都市のターゲット層と東京圏のターゲット層では、明らかにライフスタイルが異なります。どう異なるかと言うと、東京圏のライフスタイルは都市型であり、先端の流行を取り入れたモダンな生活が主体となっています。このように表現すると、地方都市のライフスタイルへの差別と言う方もいますが、これは差別ではなく、区別です。
この世には、どうにもならない法則があります。その一つに、ライフスタイルのトレンドは、大きな経済地域からやって来るという法則です。iPhoneやスターバックスは、日本人のライフスタイルを大きく変えましたが、アメリカという大きな経済地域から発信されたトレンドです。同様に、日本から発信されたトレンドはアジアへ向かい、東京圏から発信されたライフスタイルはいずれ地方圏に浸透します。これらのライフスタイルのトレンドは、逆輸入されることはあっても、流れが逆流することはありません。

問題は、地方都市の企業が東京圏に進出する時に、このトレンドの法則の流れを、自社の企画力で遡る必要があることです。モダンなライフスタイルで生活をする未知の魚を相手に、新しい針やルアーを開発する必要があるのです。それは、過去から未来に旅するようなものであり、容易なことではありません。
この障壁が、地方都市の企業と東京圏の間に立ちふさがり、進出を難しくしています。実際に、地方には老舗企業を始め、長年愛されて来た良質なメーカーが星の数ほど存在します。これら多くは、東京圏へ進出する高い品質があるにもかかわらず、上記のライフスタイルの障壁がゆえに、手をこまねいている企業がほとんどです。提案方法や企画を漁場に合わせれば、東京圏でも十分通用します。つまり、『都市型ライフスタイルに合わせたブランディング』さえすれば、生き残りだけでなく、繁栄へのターニングポイントになるのです。

次回は、この『都市型ライフスタイルに合わせたブランディング』をもう少し掘り下げてみたいと思います。

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