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【新時代のブランド戦略 vol.3】
『エコ』ブランド戦略は本物か?(後編)

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2010/02/10

日本人の89%が、車を買い替えるなら「高級車よりハイブリッド車を選ぶ」と回答しています(※1)。
一方、「価格がやや高くても社会に貢献するブランドを選択したことがある」は世界10カ国では61%でしたが、日本では44%にとどまっています。 国内で『エコ』ブランディングを行うには、エコロジーだけでなくエコノミーの要素が必要であることが分かります。

今回は『エコ』ブランディングのエコノミーについて考えたいと思います。


前回、『エコ』ブランド戦略のブームはメガトレンドであり、インターネットブーム同様に避けることの出来ない流れであるとお話ししました。地球環境のために技術を駆使する時代の到来であり、米国においてはこれをさらなる経済発展の機会と捉えています。したがって、どのような会社でも、今後は少なからず『エコ』の考え方で自社ブランドを調整する必要が出て来ます。

国内の『エコ』ブランディングは、大きく分けて3種類の方法で取り組まれています。

1)『エコ』=CO2削減のブランディング
前回ご紹介したペットボトル重量の削減など、『CO2削減+エコロジー』のブランディングです。この方法は、日本政府がコミットしているCO2削減目標に最も関連性がある大規模なエネルギーを使う企業が選択します。つまり、CO2削減が『エコ』ブームの中枢テーマですが、大規模なエネルギー消費企業以外にはブランディングの根拠が見つけにくいテーマでもあります。
一方、先日、政府によるCO2削減方針が明らかになり、国内枠15%+海外買取枠10%となるようなので、この国内枠には何らかの規制や補助金による需要が、政府の力で創出される予定です。エコカー補助金等はその代表例です。大企業はこの国策に沿う形で『エコ』ブランディングを行っています。

2)『エコ』=エコノミーのブランディング
国内市況は価格志向が強くなっており、高価格帯商品が敬遠される一方で、低価格対象品が飛ぶように売れています。『エコ』が地球環境に必要と分かっていても、現在の消費マインドでは、低価格が優先される状況です。したがって、『エコ』だけのブランディングでは、消費を活気するだけの力がなく、何らかの低価格戦略も同時に行う必要があり、それが『エコノミー+エコロジー』のブランディングです。
さらに、『エコノミー+エコロジー』のブランディングは、本来のブランドを傷つけずに低価格戦略を仕掛けることが可能です。例えば、ホンダのインサイトは26km/lのハイブリッド・エコカーですが、従来のホンダ車やライバルのエコカーと比較しても189万円という価格は非常に手頃であり、事実上の低価格戦略です。しかし、単に値引きした商品の印象と違い、あくまで『エコ』を広げるための社会貢献活動の一環に見えるのは、まさに『エコノミー+エコロジー』ブランディングの良さであると言えます。
現在、国内で最も有効な『エコ』ブランディングは、この『エコノミー+エコロジー』でしょう。

3)『エコ』=CSRのブランディング
CO2削減でも、エコノミーでもない、『エコ』ブランディングは、大多数がCSR的なアプローチであり、企業イメージの向上がその目的になります。「自然とともに生きる」や「環境に配慮しています」というブランディングは、地球環境を守る活動として素晴らしく、多くの企業がこのようなビジョンを持つべきですが、もし売上の数字面で何かしらの期待を抱いているのであれば、直接成果が出る方法ではないと言えます。
なぜなら、先の調査結果が示す通り、現在の消費マインド下では、同価格帯の商品間の比較では『エコ』が評価されても、価格差がある場合は低い方が選ばれる確立が高いからです。また、今後多くの企業が『エコ』活動を進め一般化すると、『エコ』ブランディング自体がコモディティ化し、差別化要素にならなくなります。この場合、『エコ+何か』でブランディングをする必要があり、この『何か』はその企業本来のアイデンティティに求めることになります。

このように、『エコ』ブランディングで成果を出すには、CO2削減で国策に沿うか、エコノミーで消費マインドに乗るか、どちらかが必要であると言えます。
一方、上記に当てはまらないCSR的な『エコ』の場合、競争面での行き着く先は、結局、その企業本来のブランド・アイデンティティです。したがって、インターネットブームの時は『IT』ブランディングをし、地球環境を守る風が吹けば『エコ』ブランディングをしたのでは、流行に振り回されているだけになります。流行を上手に利用する立場になるには、まず、自社のブランド・アイデンティティを明確にし、『エコ+自社ブランド』というブランディングが望ましいと言えます。


(※1)2009年エデルマン・ジャパン調査

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