BUSINESS REVIEW
リピート数増加対策の実践
宮崎晴人

ハルデザインコンサルティング株式会社
代表取締役社長兼CEO
宮崎 晴人
HARU MIYAZAKI

ブランド戦略コンサルタント。主な専門分野は企業、商品、人材、CSR、IR。「ブランドによる経営課題の解決」がテーマ。米国シアトルの高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年にハルデザインコンサルティング株式会社を設立。

【リーダーに勝つチャレンジャー戦略 vol.6】
リピート数増加対策の実践

リピートを増やすには、ファンが必要です。
そして、ファンを作るには、ブランドとしての独自の世界観が不可欠です。
MUJIはミニマリズムの世界観を、ヴァージンは革新の世界観を、ハードロックカフェはロック人生の世界観を、アップルは先端ライフスタイルの世界観を、ディズニーは永遠の夢の世界観を。人々は、自分に合った、それぞれの世界観に魅了され、それぞれのブランドを信奉し、ファンとなりリピートします。いわば、世界観なくしてはブランドとは言えず、ファンなくしてはリピートも存在しないのです。

リピートを生み出すことは、ブランドを作ることでもあります。
今回は、売上向上戦略の3つ目のパラメータである「リピート数増加の対策」について、考えたいと思います。


ブランドが成功している会社で、ビジネスが成功していない会社はありません。
一方、ブランドが今ひとつな会社で、ビジネスも今ひとつな会社は、数多く存在します。
この理由は、ブランドがファンを生み出し、ファンがリピート購入し、最終的に、その会社の継続的な売上成長に貢献するからに他なりません。したがって、会社の運営上リピート顧客は不可欠ですから、いかなる会社においても、ブランド創りから目を背けることはできないのです。

絶え間ないリピート客を得るには、彼らが再び足を運ぶだけの世界観が必要です。
顧客は、単に、商品を買いに来るだけでなく、その企業の、その商品の世界観を味わいに来るのです。
ディズニーランドは、入った瞬間に、ファンタジーの世界です。そこには、日頃目にする隣の建物や道路がありません。USJは、園外を走る車や電車が見えるのに対し、ディズニーの世界ではマンホールのマークまでがミッキー仕様です。徹底した世界観へのこだわりが、強力な集客力となり、引いては業績として差がついてきます。「そこまでこだわらなくても・・・」という妥協は、顧客に簡単に見抜かれ、飽きられてしまいます。むしろ、「ここまでこだわる必要があるのか?」と、顧客が驚愕するほど、彼らの期待を越える熱意が必要です。

ブランドとは、よく、ロゴやシンボルマークだと考える場面がありますが、本質はミッキーやリンゴのマークが問題ではありません。仮に、ディズニーがリンゴマークで、アップルがミッキーを使っても、両者のブランドは存在し続けるでしょう。また、ヴァージンのロゴは、創業者リチャード・ブランソンが、友人とノリで書いたサインです。つまり、マークは、そのブランドを示す一つの印に過ぎず、人々が魅了されるのは、その会社が創り上げた世界観なのです。そして、最も多くのリピート客を得ている企業ほど、隙がなく、完璧な世界観を持っています。

リピート客を増やすには、企業の世界観が重要であると分かりました。
では、世界観は、どのようにして形成させて行けば良いのでしょうか。
まず、歴史ある会社でも、若い会社でも、これまでやってきた事や目の前に広がる事業が、目指すべき世界観ではありません。
世界観とは、これから会社が実現させようとする未来の世界。いわば、『理想郷』です。

ユニクロを率いる柳井氏は、「高いお金を払わなくてもファッションを楽しめる世界」を理想郷とした。
ヴァージンのリチャード・ブランソン氏は、「既得権益の世界を壊し、顧客視点の世界」を理想郷とした。
アップルのスティーブ・ジョブズ氏は、「テクノロジーとパーソナルが融合する世界」を理想郷とした。

顧客は、その理想郷に魅せられ、共感し、一緒に追い求めたいと強く願うものです。彼らは、さながら、信者のような存在です。
事実、形のないものを創り上げるブランド戦略は、宗教に非常に近いと言われています。リチャード・ブランソン氏は、官僚的な既存の世界に飽き飽きした大衆のヒーローであり、ディズニーランドはディズニーファンにとっての参拝の場所とも取れます。
また、理想郷は、人々を純粋な気持ちにさせ、幸せを約束する存在でなければなりません。会社に都合の良い理想郷では、顧客がリピートすることはないでしょう。したがって、理想郷は、顧客や社会にとって必ず「善」となる、大きな視点が必要です。

さて、理想郷を唱える役は、経営トップを除いて他にいません。
お客様第一、従業員が主役、が日頃の掛け声あっても、並ならぬ熱意とこだわりを持って理想郷を目指すには、強いリーダーシップが必要だからです。多少、社員の意見を聞き、外部のコンサルタントに手を借りても、最終的には社長自身が理想郷を描き、弁を振るう使命があります。むしろ、周りの人間は、社長が描いた理想郷を日々少しずつ現実にしていくことを通して、会社が一丸となってブランド形成をして行くことが可能です。


さて、今回で、売上向上戦略のお話しが完結しました。
売上が足りない状況には、理由があります。売上に至までのプロセスを改善することが大切です。

顧客数が伸びない=コニュニケーションの活性化。キーワードは、『顧客接点』です。
顧客単価に悩む=プレミアムの創出。キーワードは、『価値創造』です。
リピートしない=世界観を創る。キーワードは、『理想郷』です。

顧客接点、価値創造、理想郷。これらをテコ入れして、何も変わらないはずがありません。後は、実行力の問題です。この3点を上手に表現し、顧客に見える形に置き換えることができれば、売上とブランド力ともに、伸びることでしょう。

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