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【リーダーに勝つチャレンジャー戦略 vol.5】
顧客単価増加対策の実践

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2009/07/14

ユニクロが、過去最高益を更新しています。
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2009年8月期連結決算見通しを上方修正し、売上高が前期比16・3%増、営業利益は23・4%増と、独り勝ちの様相を強めています。その快進撃の主な要因の一つに、新規戦略である、女性向け専門店の好調があります。
家族で着れるベーシックなラインを軸に展開して来たユニクロ。しかし、ここに来て一転し、流行やデザインに焦点を当てた、新たな価値創造戦略が見えて来ました。ユニクロは、もはや、安さを最大の売りとするブランドではなくなろうとしています。

今回は、売上に必要な3つのパラメータの1つである「プレミアム」について考えたいと思います。


ユニクロは、女性用商品の強化策として、20代前半の女性をターゲットにした「ガールズコレクション」を展開しています。
今年前半にオープンした、初のガールズコンセプトショップ「ユニクロ 新宿マルイカレン店」。さらに、昨年に引き続き、今年も東京ガールズコレクション(TGC)に参加し、若い女性の心を掴む戦略を次々と実行しています。今後2、3年以内に、女性向けラインの比率を現在の40%強から60%に高めることを目指すなど、会社をあげて、商品プレミアムの向上、引いては、ブランド価値の創造に取り組んでいます。

2)顧客単価増加の対策=プレミアムの創造

さて、プレミアムを創造することは、顧客単価に直接影響します。
売上の方程式が、

売上 = 顧客数 × 顧客単価 × リピート数

であるため、顧客単価を伸ばすことは、売上を伸ばすことにつながります。
海外化粧品や欧米のファッションブランドが高額にも関わらず、買う人が大勢存在した時代も、このプレミアムの創造が巧みになされているからに他なりません。

しかし、昨年来の不況で、世界的に消費者の意識が変わってしまいました。
高級ファッションブランドになかなか復調の兆しが見えない状況が示す通り、単に顧客単価を高めれば良いという戦略は、今後は通用しなくなっています。では、これからはどのようにプレミアムを創造して行けば良いのでしょうか?
その答えは、先のユニクロの新戦略にあります。
機能性、デザイン性を高めることで、商品自体のプレミアムを上げ、一方、価格はリーズナブルに設定する。つまり、『プレミアムの創造+戦略的価格設定』戦略。簡単に言えば、「お得感」がある商品作りです。

まず、プレミアムを創造するには、高い金額で売られている他の市場に目を付けます。
例えば、飲料用の天然水はボトル100円台で売られていますが、もし、化粧水として売るならば、数千円台の値段で売ることになるでしょう。このように、基本的な原料が同じにも関わらず、市場を越えると、全く別の価値観で取引されている市場に注目します。
先のユニクロが、ガールズコレクション市場に参入する理由も、従来のユニクロの商品に応用を加えることで、基本的な原料は同じまま、全く別の価値観の商品が提供できるからです。そして、そのガールズコレクション市場が、従来のユニクロの商品よりも高いレートで取引されている市場であれば、価格差はそのまま利幅になります。
しかし、ユニクロは、ここで目先の利幅を得るよりも、むしろ戦略的な価格設定でガールズコレクション市場にユニクロブランドを植え付けることを選択しました。これが、『プレミアムの創造+戦略的価格設定』戦略です。今後のユニクロの新しいブランド戦略であり、世界的な不況の後の消費者心理の変化を見越した、新しい形の価値創造の手法です。

以前、H&Mをレビューで紹介しましたが、『プレミアムの創造+戦略的価格設定』の戦略は、H&Mが火付け役と言っても良いでしょう。H&Mは、ライバルのGAPやZARAと比較して、デザイン性が強いブランドであり、シャネルのデザイナーであるカール・ラガーフェルドや、ステラ・マッカートニーを起用したラインが話題になりました。したがって、H&Mは、高級ファッションブランドという、別の価値観で取引されている市場を意識しながらも、価格はリーズナブルに設定することで、プレミアムを創造しているのです。

たとえ、再び、世界の景気が元に戻ったとしても、消費者心理の変化は避けられません。
今後は、「良い物だから高くても仕方がない」という商品はバブルでない限り売れません。むしろ、「良い物が手頃な価格で買える」商品に、人々の関心が集まるでしょう。そして、一人の顧客が色々な商品をたくさん買うことで、そのブランドの顧客単価は、結果的に上昇するのです。ユニクロの好調は、『プレミアムの創造+戦略的価格設定』の時代の幕開けを示しています。

次回は、3つのパラメータの最後、「リピート数増加の対策」についてお話ししたいと思います。

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