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【リーダーに勝つチャレンジャー戦略 vol.2】
チャレンジャー戦略の神髄

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2009/05/08

チャレンジャー戦略の神髄は、マーケット・リーダーの弱点を攻めることです。
古今東西における最高の兵法書と言われる『孫子の兵法』。そこには、「実を避けて虚を撃つ」という言葉があります。
相手がどれほど強大でも、必ず手薄の部分があり、つけこむ隙が存在する。そこを攻めることにより、戦いの主導権を握って勝利を収めることができる、という意味です。

チャレンジャー戦略は、まさに、「実を避けて虚を撃つ」戦略です。
今回は、チャレンジャー戦略の構造について考えたいと思います。


マーケット・リーダーとは、多くの場合、業界の最大手企業を指します。
最大手企業は、通常、企業規模が大きく、資金も豊富です。チャレンジャーが、正面からマーケット・リーダーに戦いを挑んだのでは勝ち目がなく、万一勝ったとしても、長期間に渡って多くの犠牲を払い、自社を疲労させる結果となります。したがって、「実を避けて虚を撃つ」という言葉通り、チャレンジャーは、リーダーの手薄な所を見つけ、そこを突破口として市場を押さえに行く必要があります。

では、マーケット・リーダーの『弱点』とは、何でしょうか?
様々な業界の事例研究の結果、業界最大手企業の共通の弱点は、以下であると言えます。

「最大手企業は、多くの場合、『高コスト体質』である」

企業とは、不思議な生き物で、儲かるとその資金を、投資という名目で様々なことに使い始めます。
最新の設備を導入し、先々の需要を見込んで人員を増やし、引いては自社ビルまで建設する。
経済評論家の勝間和代氏は、多くの企業はオーバースペックのために高コスト構造から抜けられなくなっている、と言っています。
「その会社のビルが自社ビルなのか、賃貸なのかは、顧客購買行動にとって一切関係がない」(*1)
業界最大手にまで登り詰めた企業は、必要最低限で事業活動を行うというよりは、むしろ過剰な設備、過剰な人員など、大抵の場合オーバースペックになっていることが多く見られます。

コンピュータ業界の巨人IBMのPCは、デルに比べて高性能かつ高価格であったが、消費者は結果的にデルを好んだ。
自動車業界の巨人GMは、トヨタに比べて、高排気量かつ高馬力であったが、消費者は結果的に低排気量のトヨタを選んだ。
既存の広告業界は、Googleに比べて、遥にグラフィカルで表現力豊かな広告を提供できるが、消費者は結果的にテキスト広告だけのGoogleを選んだ。

こう見ますと、あらゆる業界において、マーケット・リーダーを攻める方法が存在することが想像できるでしょう。
最大手企業は、古い会社ほど、『高コスト体質』です。都心の一等地にオフィスを構え、高額年収の人材を多く抱えています。それらのコストが、商品価格を押し上げていることは明らかです。
そのようなマーケット・リーダーの商品を、すべての人が買いたいと思っていないことも事実です。意外にも、アンチ・マーケット・リーダーの潜在顧客は、多く存在します。つまり、チャレンジャー側のポジショニングを、アンチ・マーケット・リーダーとすることで、マーケット・リーダーを支持しない顧客層を囲い込むことが可能なのです。アンチ・マーケット・リーダーという『ブランド』も、立派な一つのブランドです。

むしろ、競争相手をあからさまにセットすることで、何に投資をすると効果的な差ができ、投資をしても大した差が生まれないものは何か、が浮かび上がって来ます。この過程を繰り返すことで、自社の特長が明確になり、自然と業界内での差別化戦略が実行されます。さらに、マーケット・リーダーに攻め入ることを旗印にすることで、社内の士気を最高潮に上げ、社員ひとり一人のベクトルを同じ方向に向かせる効果もあります。これらのプロセスを経験することが、自社のブランド構築につながることは、言うまでもないでしょう。

最後に、『孫子の兵法』には、もう一つ重要な言葉が書かれています。
「戦う前に有利な条件を作らなければ、決して勝つ事は出来ない」
至って当然のことでしょう。
しかし、それは、誰と戦うのかを決めた時に初めて、有利な条件も見えて来ることなのだと思います。


(*1)参考文献:勝間和代 『勝間式「利益の方程式」』 東洋経済新報社 2008年

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