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【リーダーに勝つチャレンジャー戦略 vol.1】
デル社に見る急成長戦略

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2009/04/17

昨年ノーベル経済学賞を受賞した、ポール・クルーグマン教授。
先日の会見では、今後のアメリカ経済は、日本の失われた10年よりも厳しいとの認識を示しました。まさに、米型資本主義の崩壊であり、景気回復は長期戦の様相を深めています。仮に、景気が戻っても、消費マインドの変化は避けられそうにありません。
コンピュータメーカーのデル社においても、直近の業績は軟調です。しかし、今回は、ガレージから創業し、今や6兆5,550億円の企業になった急成長の経緯に焦点を当てたいと思います。そこには、デル社が得意とするチャレンジャー戦略があります。

今回は、急成長を生むブランド戦略手法である、チャレンジャー戦略をお話ししたいと思います。


チャレンジャー戦略は、私たちハルグループが最も得意とするブランド戦略です。
その手法は、実にシンプルです。マーケット・リーダーに対してあらゆる面で対抗するポジショニングを取る戦略です。自身が業界リーダーでなく、チャレンジャーであれば、どのような企業でも導入できるブランド戦略です。

ブランド戦略は、最初のポジショニングで全てが決まると言っても、過言ではありません。
例えば、デル社の場合。創業当初から打倒IBMを掲げていました。当時、受注生産と直販型を採用すれば、PCは安く生産・販売できることを発見。にもかかわらず、なぜIBMのPCは、デルの何倍もしながら買われているのか?消費者はおかしいと思わないのか?
このシンプルな疑問の追求がデル社のポジショニングとなり、PC市場に新たなブランドが誕生するきっかけとなりました。当時のマーケット・リーダーであるIBMに対してチャレンジャー戦略を仕掛けたデル社は、ガレージからスタートし、今や6兆5,550億円の売上をあげる企業に急成長することとなったのです。

一方、チャレンジャー戦略を仕掛けられたIBMは、その後、PC事業のさまざまな資産を売却。最後の砦であったThinkPadブランドのレノボ社への売却で、2004年、事実上PC市場から撤退することになったのです。創業以来、20年間に及ぶデル社のチャレンジャー戦略が勝利した瞬間です。

しかし、ストーリーはここで終わりません。
マイケル・デル氏が当初、「うまく行かない」と言っていたレノボ社のThinkPadは、市場予想に反して好調を維持。業界2位のHPも加わり、今度はデル社に対してチャレンジャー戦略を仕掛けることになります。追う側から追われる側へ。自らがリーダーとなった時、IBMが居た頃のチャレンジャー戦略は使えません。生態系は崩れてしまったのです。その結果、2006年にはHPに首位の座を明け渡すことになります。

しかし現在、デル社は、再びサーバ市場で、チャレンジャー戦略を仕掛けています。
先月、IBMがSunの買収に乗り出すと報道されると、CEOのマイケル・デル氏は「むしろデルにとってチャンス」と述べ、かつての打倒IBM魂に火が付いたようです。サーバー市場においても、デル社のチャレンジャー戦略が勝利し、業績が好転する日が来るのかも知れません。

このように、チャレンジャー戦略は、業界内の2番手以降からリーダーに昇るプロセスにおいて、非常に効果を発揮します。また、とても明解なため、社内がまとまりやすく、市場にも理解され易い明確なブランド形成が可能です。
チャレンジャー戦略は、いたるところで見られます。マイクロソフトに対するGoogle、GAPやLimitedに対するユニクロ、ブリティッシュエアウェイズに対するヴァージンアトランティック、ドコモに対するソフトバンク、スーパーや百貨店に対する楽天など。もっと大きな業界で見れば、インターネット広告そのものが、既存の広告業界に対するチャレンジャー戦略であると言えます。

したがって、昨今の不況下において、不調な企業は多数存在しますが、好調な企業には共通点があります。それは、明確に『戦う相手』をセットしているという点です。企業自らが、戦う相手を決定せずにいて、どうして社員たちが上手に戦うことができるでしょうか?どうやって社内の士気をまとめ上げ、一つの方向に進むことができるでしょうか?

このチャレンジャー戦略は、先に述べた通り、自社が業界リーダーでないのであれば、どのような企業でも採用できるブランド戦略です。
次回は、なぜチャレンジャー戦略が効くのか、その構造をもう少し詳しくお話ししたいと思います。

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