BUSINESS REVIEW
2009年のキーワード
宮崎晴人

ハルデザインコンサルティング株式会社
代表取締役社長兼CEO
宮崎 晴人
HARU MIYAZAKI

ブランド戦略コンサルタント。主な専門分野は企業、商品、人材、CSR、IR。「ブランドによる経営課題の解決」がテーマ。米国シアトルの高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年にハルデザインコンサルティング株式会社を設立。

【ブランド戦略の威力 vol.17】
2009年のキーワード

今年最後のレビューは、恒例の来年に向けてのビジネス界の展望です。
2009年は、どのような時代になるのか。企業として、ビジネスマンとして、または個人として、どのような心構えが必要なのか。ブランド戦略の視点を交えて、重要となるであろうキーワードを考えたいと思います。


2008年は、ジェットコースターに乗っているような年でした。
欧米ファンドの派手な攻勢から、サブプライム問題を発端にした焦げ付きにより、逆にアジアやアラブのファンドに支援される事態に。あげくの果てに世界同時不況で、グローバルな投資マネーは一気に凍り尽きました。
国内では、不動産価格の下落から、買い控えがマンション、建設関連企業に直撃。さらに、自動車業界では大幅減産を強いられ、勝ち組と言われたトヨタでさえ2009年度は赤字に下方修正するなど、波乱な年末となりました。
その中でも、2008年を通して勝ち続けたのは、任天堂のWii、ユニクロ、H&M、アップルといった企業でした。

2009年は、この流れを引き継ぎ、キーワードは、『現実的』です。
膨れ上がった投資マネーによって、世界中に築き上げられた「儲け話」が、一気に崩落した2008年の最後。人々は、否が応でも、現実的にならざるを得ない状況です。

節目となる時期が、1月のオバマ大統領の誕生と、自動車販売台数の下落が止まった時でしょう。
オバマ大統領が、どう米国の威信を取り戻し、世界に微かな希望を与えられるのか?また、一般大衆にとって比較的大きな支出である自動車の買い控えが、どの時点で落ち着くのか?それまでは、現実志向が続くはずです。

さて、ブランド戦略の基本は、1)差別化、2)価値創造、3)顧客視点です。
これは、好景気でも、不景気でも、同じことです。ただ、違う点は、好景気なら『夢』を追うような価値創造を。不景気なら、『現実』を見据えるような差別化を、それぞれ実行する必要があります。それが、真の顧客視点というものです。

『夢』から『現実的』に人々のマインドが入れ替わる時、大きなビジネスチャンスがやってきます。
今までの消費行動を見直し、支出をリ・フォーメーションするからです。旅行を控えてWiiを購入する、中途半端なブランドをやめてユニクロやH&Mを活用するなど。決して節約した予算が全て凍り尽くわけでなく、どこかが減った分、どこかが増える構図です。要するに、トレンドに合わせて『現実的』提案のラインアップを拡充することで、当面の活路は十分確保できる可能性があります。
それは、値引きではなく、あくまで『現実的』な提案です。

ブランド・アイデンティティは、好景気でも、不況でも、絶対に変えてはいけません。それは、人格と同じだからです。
しかし、人格は変えずとも、時代によって、うまく生き抜く振る舞いはあるものです。2009年は、市場が落ち着くまでは、ほんの少し『現実的』路線なブランド表現も利用する。そのような、柔軟な取り組みが、成果を分ける年になりそうです。

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