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【ブランド戦略の威力 vol.15】
好景気と不景気のブランド戦略

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2008/10/17

世界的な株価の下落。米国の景気後退に対する失望感。
グローバル経済は、減速の様相を強めています。

その中で一人勝ちの会社があります。ユニクロを展開するファーストリテイリングです。
2008年8月期の売上高は5864億円。経常利益、当期利益ともに30%以上の成長です。来年の利益目標をほぼ今年で達成してしまった好調ぶりです。
ユニクロ・ブランドが、不景気時の節約志向に大きく響いた格好です。

好景気に躍進するブランド。不景気に強いブランド。
今回は、景気変動とブランド戦略について考えたいと思います。


ユニクロは、間違いなく不景気に伸びるブランドです。
ここ数年のブランドの不調は、世の中の好景気と重なっており、景気に影が差して来ると、再びブランドが脚光を浴びる格好です。もちろん、ファーストリテイリング自身の業務改善によるところもあるでしょうが、不景気に起こる消費者の節約志向の波を上手に掴んでいることは事実でしょう。
『節約するなら、ユニクロ』
これはまさに、ブランドが確立している証拠です。

一方、好景気に伸びたブランドもあります。
レクサス、BMW、ベンツなどの高級車ブランド。各社とも、北米市場を最重要戦略拠点とし、アメリカの景気拡大の波に乗りました。しかし先日、トヨタは北米市場の需要減などにより、異例の業績見通しの引き下げを検討し始めたところです。
たとえ不景気でも、BMW1シリーズのような手頃な価格帯の車種が売れるのでは、と思う方もいるでしょう。しかし、手頃と言えども価格は300万円~500万円。節約志向の消費者が、あえてこの時期に考えるには、随分と見栄の張った車です。そもそも、『BMW』というブランド自体が『高級』を連想させるブランドであり、『1シリーズ』がどれほどエコノミーなサブ・ブランドとして設計されていても、消費者にしてみれば、とても『マネーセービング』を連想させるブランドには見えません。

このように、ブランドには、そのアイデンティティが好景気向きであったり、不景気向きであったりと、2種類あることがわかります。
問題は、ユニクロのような不景気に強いブランドは、好景気時は泣いて待つしかないのか。また、好景気に強いブランドは、不景気が過ぎ去ることを心待ちにするしかないのか、ということです。

これを避ける方法が、一つあります。
新しいメガトレンドに乗せることです。
高級ブランドでも、低価格ブランドでも、行き詰まったときは、自身のブランドと一番相性の良いメガトレンドを探し、商品を改革することで再び回復が可能であると考えられます。

ユニクロは、不調な時期に、あれほど創業以来、柳井氏がこだわっていた『ベーシック(定番)』戦略を修正し、デザイン性を打ち出す商品開発にベクトルを向けました。なぜなら、H&Mの急成長に見られるように、消費者は価格や機能性だけでなく、デザインを重視する世界的なメガトレンドがあるからです。
実際に、ようやくユニクロのデザイン性が認知され始めた昨年後半から業績回復は始まっており、今年の景気後退で一層拍車がかかった格好になっています。仮に、不景気の神風が吹かなくても、ユニクロの業績はそこそこ回復したことでしょう。

同じように、これからの景気後退で難しい局面に立たされる高級ブランドも、どこかでメガトレンドをからませてくるでしょう。
世界のメガトレンドには、『デザイン』の他に、『健康』、『美容』、『長寿』、『生き甲斐』など、様々なテーマがあります。これらをブランドのエッセンスとして取り入れることで、ブランドを再び活性化し、人々の興味を集めることが可能です。

最もしてはいけない戦略は、じっと待つという方法です。
なぜなら、これは誰にでもできる方法だからです。戦略とも呼べません。
「人事を尽して天命を待つ」ということわざがあるように、ビジネスの運命を天に任せてじっと待つ前に、すべきことが沢山あるでしょう。

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