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【ブランド戦略の威力 vol.13】
差別化のメソッド

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2008/08/29

映画「オーシャンズ13」で、日本酒の久保田で乾杯するシーンがあります。
サブプライム不況の中枢にあるアメリカ。しかし、今、空前の日本食ブームが巻き起こっています。
レストランの出店数は大きく伸び、フレンチやイタリアンなどの西欧料理の世界にも、「和」のエッセンスを取り入れ、新しい価値を提供しようとする動きが活発化しています。不景気など、どこへやらの様相です。

一方、日本国内では景気減速が顕著になっています。
不動産市況の悪化とサブプライムの追い打ちを受け、経済ニュースでは、挑戦的な企業の話題より、景気悪化の渦に飲まれる話が増えています。

不景気の中でも、差別化でビジネスを拡大するアメリカ。
いつも全体の景気変動に連れてしまう日本。
今回は、不景気でも事業を伸ばす、差別化の重要性とそのメソッドについてお話ししたいと思います。


マンハッタンのスターシェフ、Jean Georges氏。
数少ないNYのミシュラン3つ星レストランの一つです。
彼の料理の特徴は、「和」です。キュウリの冷製スープ、カボスの風味、昆布だしのソース、そして松茸や秋刀魚。和食の伝統的なエッセンスと、フレンチを融合したその料理は、ヌーベル・フレンチという新たな世界を切り拓いています。

Jean Georges氏の料理は、差別化の極みです。
伝統的で保守的なフランス料理と一線を画し、異文化への理解と融合を通して、時代が求める新しい世界観を創り出しました。その戦略は、非常にシンプルなものですが、同時に、勇気のいる試みです。しかし、その姿勢が結果的に、ミシュラン3つ星という形で評価を得る。これは、自らのアイデンティティを突き通した、ブランド戦略の成功とも言えるでしょう。

一方、現在、日本企業の多くが、差別化に苦戦しています。
その証拠に、今回のような景気後退局面に入ると、ほとんどの企業が元気を失ってしまいます。景気の上昇局面では、他社と同じように潤い、後退するとまた、他社と同じように不調に陥る。これは、他社と差別化が出来ていないことを示しています。

多少の景気変動に左右されず、自社の成長を安定的にドライブさせるには、Jean Georges氏のような差別化の追求が重要です。
ここで、私が日頃クライアントに行う差別化のメソッドを簡単にご紹介したいと思います。

1)競合他社の調査
まず、差別化(Differentiation)とは、相対的な比較によって価値を生み出す方法であり、絶対的な価値を追求するオンリーワン的な発想とは、全く違うものです。日本人の気質は、技術の追求を通してとかく『BEST』を目指したがりますが、モノ余りの成熟社会で勝つにはむしろ『DIFFERENT』の方が重要なキーワードです。Jean Georges氏の料理は、フランス料理のBESTではありませんが、明らかにDIFFERENTです。業界内の競合他社と比較して、いかに『DIFFERENT』になれるかがポイントです。

2)市場調査・ターゲット調査
成熟したマーケットでは、業界そのものが頭打ちになっている場合があります。つい決断力が欠け、幅広い顧客ターゲットを追うがために、特化した商品やサービスが作れないでいる。このようなケースが多く見られます。
自社のターゲットを明確にする方法として、雑誌を有効に使うことができます。例えば、女性誌は、究極のターゲットマーケティングです。10代、20代など、各年代ごとに発行されているだけでなく、同年代でもCanCam、ViViなど、趣味趣向の差に注目しています。これらの雑誌と自社商品を重ね合わせることで、自社のターゲットが明確に視覚化されます。ターゲットとは、それほど明確に選定しなければならないものなのです。

3)東から西へ、西から東へ
最後に、私が日頃注目している差別化の方法は、『東から西へ、西から東へ』です。
Jean Georges氏の成功は、まさに東のエッセンスを西の文化と融合させた点にあります。
このように、例えば、関西でビジネスを立ち上げるならば、関東のエッセンスと組み合わせて作ったり、東京で事業を行うのであれば、NYのトレンドを意識したりすることが重要です。つまり、文化の差と、時間軸の差を利用して、ノウハウ的なサヤを取るわけです。

以上が、大まかな差別化のフローです。
幸いなことに、私が担当させて頂いているクライアントを見る限り、不況の影響は今のところ感じられないようです。
是非、ご参考にして頂ければと思います。

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