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【ブランド戦略の威力 vol.11】
なぜスターバックスは減速し始めたのか

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2008/07/16

先日、米スターバックスが、業績不振の600店舗の閉鎖を計画しているというニュースが流れました。
スペシャルティ・コーヒ―の先駆けとして急拡大を遂げ、世界に6000店舗以上を展開するスターバックス。その創業者でありCEOのハワード・シュルツ氏が、日本の第一号店の開店に合わせて来日し、こう言ったことを覚えています。
「人々はスターバックスのブランドに魅了されている」
しかし、ここに来て本国アメリカでは、減速が顕著になって来ています。魅了されていたはずの人々が夢から覚めたのか。もしくは、強いブランドにも弱点があったのか。

今回は、スターバックスがなぜ減速し、本来どうすべきだったのか、を考えてみたいと思います。

「スターバックスは、ブランド力がある」
これは、ハワード・シュルツ氏だけでなく、世界中の誰もが感じたことでしょう。
洗練された商品、創造的なビジュアル、一貫したブランド・アイデンティティ。
しかし、その凄まじい神通力も、創業20年を前にブレーキがかかろうとしています。
この減速の理由は何か?
ブランド戦略の視点から、いくつか指摘できます。

第一の理由は、あり過ぎるほど拡大した店舗数です。
発祥地シアトルでは、どこに行ってもスターバックスがあります。街の1ブロックに1~2店舗、オフィスビルにもスタンドが入っています。街を歩けばバス停よりも多いことが分かるはずです。
この強烈な出店攻勢は、初期の戦略としては正しいと言えます。コーヒーショップは、参入壁が低いビジネスなので、タリーズやSBCなどの追い上げをかわすには、競合他社よりも早く拡大し、シェアを広げる必要があります。同時に、あらゆる場所でスターバックの看板を見かけることは、人々の潜在意識へのブランドの刷り込みとしても機能します。ブランドの噂は、人から人へと伝わり、スターバックスを知っていることが、あたかも流行通であるかのようになります。

しかし、これを20年弱も続けて来ますと、さすがに飽きます。
マーケットとは、飽きる生き物なのです。
スターバックスは、強烈な出店攻勢を通して、自らのブランドをコモディティ化してしまいました。一貫したブランドが強みであったわけですが、さすがに同一なものを20年弱も拡大させれば、あえて人に紹介する必要がなくなるほど、日用品になってしまいます。この時点で、もはやスペシャルではないのです。
長期間にわたって変わり映えのしなかった店舗とメニュー。これが第二の理由と言えます。

顧客が他の人に紹介したくなるほど強い支持があれば、その企業は成長し続けると言います。
裏を返せば、顧客がもう紹介したくない、といった時、その成長は止まるのです。

では、どうすれば良かったのか?
一貫したブランド・アイデンティティは正解です。
しかし、変わり映えのない実行戦略は問題です。

ブランドとは、常に若々しく、エネルギッシュに見せて行かなければなりません。
ルイヴィトンは、デザイナーのマーク・ジェイコブスによる芸術的なラインで人々の目を引く一方で、定番商品を売るビジネスモデルが確立しています。定番商品だけでは、変わり映えのない実行戦略に陥りますが、創造的な新作を投入することで、ブランド全体を活性化させることができます。また、ブランド拡張の方法として、これまで手掛けなかった、時計やジュエリーに進出したことも、ブランドにフレッシュなイメージを保たせ続けることができています。

Appleのように、次々と新作を発表し、その度に長蛇の列を生み出す方法もあります。
つまり、マーケットを飽きさせない、ということがポイントです。そのためには、新しいことに挑戦する姿を、ブランドとして常にアピールしていく必要があります。

スターバックスの今後にも、チャンスは大いにあります。
数字の上では、不採算店を閉鎖すれば、解決するように見えるでしょう。しかし、問題は、コモディティ化から抜け出たわけではないことです。スターバックス・ブランドを使った新業態への拡張戦略など、挑戦する姿を見せることで、ブランドに再び力を取り戻すことが可能であり、これが既存業態の活性化策になります。
たとえば、"STARBUCKS/DOLCE" というスウィーツ&カフェはどうでしょう。
スターバックスが持つカフェの連想と、有名パティシエとのコラボレーションによるブランドの掛け合わせ戦略で知名度を上げ、『スタンド・スウィーツ』といった新しいトレンドを作り、ブランドに若さを取り戻すことができるはずです。

このように、ブランド戦略の視点から考えることで、コモディティ化を脱出する方法は、いくらでもあります。ブランドの『拡張』と『掛け合わせ』を使えば、その方法は無限にある、と言っても過言ではないでしょう。

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