BUSINESS REVIEW
ターゲットで変わるコミュニケーション戦略
宮崎晴人

ハルデザインコンサルティング株式会社
代表取締役社長兼CEO
宮崎 晴人
HARU MIYAZAKI

ブランド戦略コンサルタント。主な専門分野は企業、商品、人材、CSR、IR。「ブランドによる経営課題の解決」がテーマ。米国シアトルの高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年にハルデザインコンサルティング株式会社を設立。

【ブランド戦略の威力 vol.10】
ターゲットで変わるコミュニケーション戦略

ブランド展開の最初の関門。
それはコミュニケーション戦略です。実行にはターゲットを決めなくてはなりません。
世界が男性と女性で構成されている以上、そのどちらをターゲットにするかは、マーケティングの専門家でなくても、商品企画の時点で大方決まっていることです。さらに、その商品を販売展開する場合、男性向け商品は、男性的なコミュニケーションを行い、女性向け商品は、女性的なアプローチが必要なことは、多くの人が頭に描くことができるでしょう。しかし、実際に、男性に響くコミュニケーションとは、何か?女性が振り向くポイントは、どこか?具体的な方法論について心得ている人は少ないのではないでしょうか。

今回は、ターゲットによって、コミュニケーション戦略を使い分けることについて考えたいと思います。


結論から言いますと、男性と女性では、響くポイントが違います。
したがって、コミュニケーション戦略も、それぞれのターゲット特性に合わせて、変えて行く必要があります。

男性は、一般に闘争心が強い性質を持っています。
男性が外で仕事し、女性が家庭を守るという構図は、世界中の歴史の中に刻まれている現象です。もちろん、近年、女性のビジネス界での目覚ましい活躍を考えると、闘争心が強いのは男性だけとは言い切れない、新しい時代の兆候が見られます。しかし、いずれの場合も、ビジネス界で活躍するには、ある程度の『戦い好き』な性格が必要です。
例えば、ビジネスソリューションのような男性的な商品を販売する場合、雰囲気や共感で売ることは非常に困難です。逆に、いかにその商品が戦いに役立つのか、確立した理論的と説得力、明確な将来像が必要です。特に、男性は、夢やロマンを描く性質を持っていますから、ブランド・コミュニケーションには、この将来像が欠かせません。乗り心地の悪いポルシェやフェラーリに憧れたり、都内の一等地にオフィスを持つと言う採算性の悪いことを夢見るのは、戦利品を誇示したいと言う、いたって男性的な感覚です。女性には、到底、意味の分からない行動ですが、男性向けのコミュニケーション戦略を立案する場合、この点が非常に重要になるのです。

一方、女性をターゲットにしたコミュニケーション戦略とは、どんなものでしょうか?
メソッドやロジックを好む男性に対して、女性は『共感型』であると言われます。
例えば、サマンサタバサというブランドがあります。ビヨンセやマリア・シャラポア、蛯原友里をプロモーション・モデルとして起用し、急成長を遂げたバッグ・ブランドです。ビヨンセが使っていて可愛い、という『共感』の感覚が、そのまま購買に結びつきます。この場合、商品のスペックや耐久性は関係ありません。誰がその商品を使っているのか、が重要なのです。
一方、サマンサタバサのメンズラインである、サマンサキングズには、プロモーション・モデルがいません。男性は共感型ではありませんので、誰が身につけているかでは買いません。たとえ、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーがモデルになったとしても、それに共感するのはやはり女性であり、男性の購買の理由にはならないのです。

このように、ブランドのコミュニケーション戦略は、ターゲットの性別によって、大きく2つに分類できることがわかります。
男性がターゲットであれば、スペック、理論、将来像、夢など、男性的なキーワードを中心にコミュニケーション戦略を構築する必要があります。
一方、女性をターゲットにしたコミュニケーション戦略は、共感を軸に展開します。その場合、共感できる『モデル』の存在が重要です。このモデルは、有名人であればあるほど威力を発揮しますが、身近な人物でも共感を呼ぶことができます。重要なことは、誰がその商品を使っているのか、を伝えることです。最も避けるべきは、商品そのものにしか焦点を当てない、男性的なコミュニケーション方法です。

このように考えると、あらためて自社が扱っている商品と、そのコミュニケーション戦略を見比べ、ターゲットに合ったアプローチができているか、少なからずヒントになると思います。

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