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【ブランド戦略の威力 vol.3】
米国における未公開企業の最前線(後編)

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2008/03/26

昨年の米国ベンチャー企業の成長ランキングでは、サブプライムローンに関わる会社が上位に食い込んでいます。
これは、サブプライム危機が表面化する前の成績です。このことからも、サブプライムはベンチャー企業にとっても空前のバブルだったことが分かります。しかし、現在、これらの中には存続すら危うい会社もあるでしょう。まさに、天国から地獄へ、といった状況です。その企業の多くが、金融の中心地であるNYを含めた東海岸を拠点としています。
金融サービスはもちろん、それに関わる広告・マーケティング、人材サービス、設備、ITなど、これらサブプライムで潤った未公開企業は、今年の成長ランキングで姿を見ることはないでしょう。したがって、今後の米国ベンチャーの動向を見るには、東海岸のビジネスを除いて考える必要があります。

もともと、アメリカの東海岸と西海岸では、ビジネス風土が大きく異なります。
さて、今回はこの風土の違いと、西海岸的なビジネスについて考えたいと思います。


先日、このビジネスレビューの読者であるS氏から、西海岸のベンチャーについて興味深い情報を頂きました。
彼は、現在、シリコンバレーで新しいビジネスの発掘を行っています。その一つに、Kiva.org(http://www.kiva.org/)というベンチャー企業の話がありました。

Kiva.orgは、『マイクロファイナンス』のネット企業であり、現在、注目を集めているそうです。
マイクロファイナンスとは、一般の人が$10、$20のレベルで事業投資することです。Kiva.orgは、サイトを軸に世界中の人々と起業家を結び付ける、SNS型の投資プラットフォームを提供しています。例えば、アフリカに住む起業家がクリーニング屋さんを始めたいとした時、kiva.orgに登録している一般投資家に5%~8%の配当を払ってお金を調達した方が、地元の銀行から10%で借りるよりも得になります。一方、一般投資家にとっては、$10、$20のレベルでの投資が可能になり、これまでにない、新たな投資機会を得ることができるというビジネスモデルです。
普通の一般人がこのSNSサイトを見て、興味を持った企業に気軽に投資したり、投資を受けた起業家の方も事業概況報告をブログで行ったりしています。ブログですから、普通に日記と写真です。何ともカジュアルな投資活動に感心しますが、さらに驚くことに、この企業は、NGOであり、そのミッションは世界平和を掲げています。つまり、富を持つ先進国の人々が、発展途上の起業家にパーソナルなレベルで資金提供することにより、富を再分配しようということです。

この事業が、画期的なベンチャービジネスとして注目されるのは、いかにも西海岸的なビジネス風土です。東海岸の権威的なビジネス風土では、このような不安定要素の多い投資サービスを認めるはずがありません。(とは言え、サブプライムローンは認め、大火傷を負っていますので、いささか矛盾していますが)
しかし、この会社のプロジェクトには、既に、他の多くの企業が参画しています。YouTube、Google、Yahoo、Microsoft、 Lenovo、 paypalなどの企業です。例えば、Kiva.orgサイトのハードウェアはMicrosoftが提供。決済手段は、paypalが提供しています。

西海岸の目の付けどころは、目先の『儲け』から入るのではなく、『世界にあったら良いだろう』といった理想論的な発想が特徴です。YouTube、Google、Yahooなど、その背景に同様のアイデンティティが存在します。これが、西海岸ビジネスにおけるブランド・イメージの根底を支えていることがわかります。
一方、東海岸は、より権威的な事業を好み、資金力を活かした資本主義的なビジネス風土を育んでいます。『儲け』と『社会貢献』を混同することは、まずあり得ません。したがって、SNSのようなビジネスを理解するには、ビジネス風土があまりにも違いすぎていると言えるでしょう。

S氏によると、シリコンバレーは、まだ、サブプライムの影響をそれほど受けていないようです。
今後、米国は、サブプライムの震源地である東海岸から、ビジネス風土が異なる西海岸へ、成長の拠点が大きくシフトする可能性があります。広告・メディア業界においては既に、東海岸を拠点とする従来型のTV、新聞、雑誌といった媒体から、Yahoo、Google、Youtube、Facebookなどの西海岸のインターネットメディアへ、確実に影響力が移っています。そこに東海岸ビジネスの中心である金融サービスに打撃を受けたわけですから、しばらくはこの地域での成長期待は遠のくでしょう。
逆に、西海岸に資本と人材が流れ、これまで以上に活性化するシナリオも考えられます。今後の西海岸のベンチャービジネスに注目をしたいところです。

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