BUSINESS REVIEW
2008年日本市場のキーワード
宮崎晴人

ハルデザインコンサルティング株式会社
取締役会長
宮崎 晴人
HARU MIYAZAKI

ブランド戦略コンサルタント。主な専門分野は企業、商品、人材、CSR、IR。「ブランドによる経営課題の解決」がテーマ。米国シアトルの高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年にハルデザインコンサルティング株式会社を設立。

【経営課題とブランド戦略 vol.11】
2008年日本市場のキーワード

今年最後のレビューは、来年に向けてのビジネス界の展望です。
2008年は、何が求められるのか。企業として、ビジネスマンとして、または個人として、どのような心構えが必要なのか。ブランド戦略の視点を交えて、重要となるであろうキーワードを考えたいと思います。
「2008年に注目される言葉は、すでに2007年に兆候が見られる」という仮説のもとに予測をしたいと思います。
来年初めて起こる事象は、さすがに現時点で言い当てることは不可能です。したがって、今年の兆候が来年増幅する、もしくはピークをを迎えるという視点から、2008年に訪れる潮流を捉えたいと思います。

まず、「グローバル」という言葉。もう何年も前から叫ばれてきたキーワードですが、2008年はさらに加速します。これまでグローバルと言えば、海外マーケットのことでした。国内から見ると海の向こうの話であり、国内マーケットへの影響は軽視されてきました。しかし、2007年は中国の躍進に加え、インドの本格的な台頭、ロシアの復活と、次々と成長市場が生まれる中、世界から見た日本市場の地位は徐々に低下の傾向にあります。事実、日本のGDPの世界ランクは、年々下がっています。さらに、追い打ちをかけるような、国内の少子化による人口減少。2055年には日本の人口は1億人を割る試算が出ています。GDPは人口と相関関係がありますから、日本市場はますます先細りの状況が続く予定です。

一方、金融をテコに海外で攻勢をかける欧米企業。2007年は、アジアの成長市場に積極的な投資を進めるかたわら、弱体化した日本市場の資産を端から買い拾う動きも顕著化しました。外資系金融グループによる、国内ホテルやゴルフ場の買収は、その一例に過ぎません。日本国内で展開する再生ファンドの多くが、その原資を欧米の投資家から調達しており、日本のM&Aは海外マネーによって繰り広げられているのです。

しかし、ここに来て米国のサブプライム問題が勃発しました。しかも、終結のメドが立たないと言う、米国の金融グループにとっては前代未聞の危機です。急速な資金力の低下は、中国やアラブの政府系ファンドに助けを求めるという異例の事態にまで発展し、もはや世界を駆け巡る投資マネーのオーナーが誰なのか分からなくなって来た状況です。時代は、まさにグローバル乱闘劇です。

圧倒的な人口で支える新興アジアの成長力と、欧米の金融攻勢とオイルダラーに挟まれた日本市場。もはや、世界第2位の経済大国という自負に浸っている状況は、刻々とタイムリミットを迎えようとしています。
しかし、逆境の中にこそチャンスは存在すると言います。2008年の日本企業の動きは、まさにこの逆境を克服する動きが強まるでしょう。その例として、日本の代表産業である大手電機企業は、すでに手を打ち始めています。例えば、東芝は経営資源を自社の強みである半導体事業へ集中させるため、大胆な事業編成を行っています。東芝EMIなど、ノンコアである音楽や映像事業を売却し、逆にソニーから半導体製造ラインを1000億で買いました。「半導体の東芝」という、自社のブランド・アイデンティティの洗練です。その努力は、今年の同社の株価の推移を見れば、市場に評価されていることがわかります。一方のソニーも、ロボット事業の撤退や半導体製造ラインの売却などを経て、自社の強みである高品質なオーディオビジュアルに資源を集中する動きがあります。2008年は、ソニーにとってもブランド復活となる大きな年になると予想できます。また、日立も「世界で勝てない事業は続けない」と宣言しており、グローバル視点からコア・コンピタンスを高める方向にあります。

このような流れから、2008年は、『選択と集中によるブランドの復活』が、最大のテーマになると考えられます。現時点では、電機業界の動きが目立ちますが、今後は他の製造業はもちろんのこと、銀行や証券、建設などサービス分野にもこの動きが波及することでしょう。グローバル化の加速の流れから、日本だけ例外な市場を維持することは不可能です。世界の中の企業として、その存在意義を考えるならば、自ずと選択と集中を行い、自社のブランド・アイデンティティを高める道が見えて来るはずです。そのような意味で、日本の2008年は、大きく復活する企業と、行動に移せずジリ貧になる企業が顕著化する年になると考えられます。

また、ビジネスマンとして、私たちにも同じことが言えます。
私たちは、グローバル乱闘劇の時代に生きているのです。外は混沌としています。団塊の世代が生きた、高度成長期とは全く違う状況です。このような時代を生き抜くには、社会での存在意義を見直し、自らのアイデンティティを定め、それに徹底して取り組む姿勢が重だ要と思います。つまり、個人にとっても選択と集中が必要なのです。じっとして混沌な時代に埋もれてしまうか、それとも立ち上がって光り輝くか。それは、ひとえに、私たち個人のビジョンと行動にかかっています。
このレビューを読んで下さるユーザは、向上心の高い方々だと思います。是非、2008年を素晴らしい飛躍の年とするために、アイデンティティの洗練と徹底した行動をもって、自分たちのビジネスに向かって行きましょう。逆境にこそチャンスありです。長年の夢をかなえる、大きな一歩を踏み出しましょう。

▲ページトップに戻る

<<前のレビュー 強いブランドの共通点
>>次のレビュー 所得格差がマーケティング戦略を変える

| プレスリリース | 個人情報保護方針 | サイトマップ |

ハルデザインコンサルティング株式会社

COPYRIGHT © 1999-2008 HARU DESIGN CONSULTING INC. ALL RIGHTS RESERVED.