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【経営課題とブランド戦略 vol.10】
強いブランドの共通点

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2007/12/20

今年も残りわずかとなりました。
今回は、これまでの総集編として、強いブランドとは何かを整理したいと思います。

結局、強いブランドの共通点は何なのか。
顧客を魅了し、優秀な人材を引きつけ、社会に注目される要素。これまでブランドについて、様々な視点からお話しして来ましたが、私は次の一言だと思います。
それは、『徹底した挑戦』です。
強いブランドは、常に挑戦的です。新しい価値を生み出そうとする活力。社会のルールを大きく変えようとする姿勢。強いブランドに、消極的な企業は存在しないのです。
そして、強いブランドは、ただ挑戦するだけではありません。徹底的に挑戦するのです。その勢いに、競合他社は翻弄し、顧客は熱狂するのです。

今回は、今年のまとめとして、強いブランドを実現するためには何が必要なのかを、もう一度確認したいと思います。


「欧米企業は、やる時は徹底的にやる」
先日、ある金融機関の方とお会いした時の話です。
欧米のファンドと、日本のファンドの大きな違いは、戦略の徹底ぶりにあると言います。今日100万株売りたい。100万株という単位は、市場の値段を動かしてしまうボリュームですが、とにかく今日売りたい。その時に違いが現れると言います。
欧米ファンドは、ストップ安になろうが、その日『売る』と決めたら、一気に売り切るそうです。100万株全部売って、ポジションをその日から変える。一方、日本のファンドはというと、同じ100万株を売る場合、希望の値段で売れない時は翌日に持ち越すため、結局その日は10万株程度しか売れない。全体の10%です。残りの90万株は明日以降の仕事となります。しかし、この方法だと明日も10万株しか売れませんから、最終的に全ての保有株が売れる時期は10日後となるわけです。
注目したいのが、日本のファンドがチョロチョロとやる中、欧米ファンドは徹底して仕事に臨む点です。やらないなら、やらない。しかし、やる時は、徹底してやる。
このような姿勢の違いは、各国のブランド戦略でも見られる現象です。

レビューにも度々登場しますが、アップルの徹底ぶりは世界中で賞賛されています。
iPodを初めてリリースした時、上記と同じような状況を目にしたことを覚えているでしょうか。一気に仕掛けるアップルに対して、競合他社は類似品の開発を試みました。しかし、アップルは、数ヶ月後に、自社の製品をも否定するような全く異なる新作を発表します。この時点で最初に出したiPodは古くなってしまうわけです。それを追いかけていた競合他社は、類似品開発が無意味化し、戦意を失うことになります。つまり、競合がチョロチョロと進む中、アップルの徹底したマーケティング戦略が圧倒的にライバルを引き離し、最終的に市場を制した事例です。

実は、日本にも、この種の会社が存在します。
携帯通信企業としてのソフトバンクです。ボーダフォンを買収しての参入ですが、『ソフトバンクの携帯』は今年で定着してしまいました。見事なブランド戦略と言えます。話題性のある料金体系や機種、ブランドイメージを表現する広告を次々と打ち出し、市場での存在感を一気に高めました。そこには、携帯電話市場に切り込もうとする『徹底した挑戦』が見ることができます。今回のソフトバンクの姿勢と比較すると、競合他社の戦略が、非常におとなしく見えます。

また、任天堂のWiiの徹底ぶりは、見事です。市場のルールを大きく変えてしまいました。その徹底した挑戦が、任天堂のブランド・イメージとなり、顧客はWiiを買って楽しむだけでなく、同じ挑戦的なアイデンティティを自らの人生で共有することができるのです。

そして、かつて日本の代表ブランドと呼ばれたソニー。その後の事業の多角化で、惜しくもブランド・アイデンティティが迷走していました。しかし、私は、今回のブルーレイでソニーブランドは復活すると見ています。その理由は、もともとソニーのブランド・アイデンティティは高品質なAVにあったので、それをもう一度会社をあげて経営資源を集中させているからです。つまり、徹底的にやる決意で臨んでいるため、ブランド戦略が成功し、いずれ業績にも現れて来るはずです。

徹底した挑戦。
私は、それが強いブランドと、そうでないブランドを分けるものだと思います。
しかし、徹底した挑戦を行うには、自らのアイデンティティを知る必要があります。ソフトバンクも、任天堂も、ソニーも、世の中から何を期待されているのか把握し、アイデンティティを研ぎすました結果、現在のような行動が現れていると言えます。同じブランド戦略を多額な予算をかけて進めているにもかかわらず、なぜ競合他社はチョロチョロとやっているように見えてしまうのか。それは、ひとえにアイデンティティに迷いがあるからです。自分の人格に迷いがあれば、その行動にも一貫性が現れません。ブランド戦略とは、一貫したメッセージを発信する作業の繰り返しです。そのためには、企業としての心を定める必要があります。そして、定めた心に『徹底して挑戦』する。それが、強いブランドを実現する鍵であると思います。

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