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【経営課題とブランド戦略 vol.3】
ルイ・ヴィトンのブランド戦略に学ぶ(後編)
- 商品の価値を高めるには -

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2007/10/18

圧倒的な忠誠心を勝ち取る、ルイ・ヴィトン。
その力の源は、顧客の視点に立った、独自のブランド戦略にあります。ルイ・ヴィトンのブランド戦略に学ぶ (後編)では、コミュニケーションとロイヤリティの観点から、特徴を見て行きます。
ソ連の最後の書記長だったゴルバチェフが、モノグラムのバッグを隣に置き、車でベルリンの壁を通り過ぎる風景。この話題の広告の意味とは。そして、ベルナール・アルノー氏が言う、20年先を見た究極のブランド成長とは。
ルイ・ヴィトンのブランド戦略を、再び考察します。


〈コミュニケーション(つづき)〉
「旅」に対する独自の解釈

ルイ・ヴィトンのテーマは、旅です。
本来は、旅行鞄の専門メーカーですから、当然のことでしょう。
しかし、それはただの旅ではありません。人生そのものが旅だというメッセージが、ブランドに隠されています。
その例として、ルイ・ヴィトンは現在、今までにない興味深い3種類の広告を展開しています。
ソ連の最後の書記長だったゴルバチェフが、モノグラムのバッグを隣に置き、車でベルリンの壁を通り過ぎる風景。フランス映画界の女王、名女優カトリーヌ・ドヌーヴが、駅のホームでモノグラムのスーツケースに座る風景。アンドレア・アガシとステフィ・グラフが、モノグラムのバッグを横にくつろぐ様子。他のブランドのように若い女性モデルが新作バックを携える、いわゆるファッション広告の王道とは、明らかに異なるコミュニケーションを目指しています。
歴史に残る偉業を成し遂げたこれらの人物達は、今、人生の大仕事を終え、過去を回想しているかのように見えます。その素晴らしき人生の横には、いつもルイ・ヴィトンがある。ルイ・ヴィトンの旅とは、人の歴史そのものを指しているのです。
このコミュニケーション方法は、顧客側のアイデンティティに大きく影響を及ぼします。旅行鞄としてのアイテムを越え、人生の必需品という世界観を与えるからです。それは、顧客が良き人生を送るためにルイ・ヴィトンの鞄を選択するということが、一つの素晴らしい生き方に感じられるからです。ルイ・ヴィトンのブランド戦略のうまさが、ここに見ることができます。


〈ロイヤリティ〉
個々のブランド・アイデンティティを大切にする

ルイ・ヴィトンが属するLVMHグループは、現在57のブランドを保有しています。注目すべきは、その全てのブランドが統合や合併をしていないという事実です。通常、企業のM&Aでは、同一の顧客層をターゲットとしている場合、企業同士を合併させ効率を高めることがあります。しかし、LVMHグループは、あえてその方法を行いません。
その理由は、企業合併のメリットは、効率向上という企業側の都合が最初にあり、顧客側のメリットはその次になります。LVMHは、顧客目線を重視しています。顧客は、個々のブランドの歴史とアイデンティティに対して忠誠心を持っており、それを無視して組織を再編することは、長年築き上げて来たブランドの崩壊を招きます。したがって、LVMHは、全ての戦略を顧客目線で考えています。
長く愛されるからこそ、ブランドになる。
ベルナール・アルノー氏は、言います。
「我々は20年先を見て事業を立ち上げています」(*1)
この長い目で取り組むブランドのビジョンが、多くの人々を魅了して止まないブランド・アイデンティティになっていることは明らかです。

他にも、ルイ・ヴィトンの強さを語る特徴は山ほどありますが、本質を突き詰めて行くと、『プレミアム』、『コミュニケーション』、『ロイヤリティ』のいずれかの戦略に乗っています。これらの戦略を一貫して、かつ、見事なまでに正確に実現している。そのマネジメントのうまさが、今日の成功をもたらしていると考えられます。まさに、ベルナール・アルノー氏の経営手法は、ブランド戦略も含めて、究極の芸術と言えるでしょう。

(*1)参考文献:ベルナール・アルノー 『ブランド帝国 LVMH を創った男 ベルナール・アルノー語る』 日経BP社 2003年

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