BUSINESS REVIEW
商品のコモディティ化を避けるには
宮崎晴人

ハルデザインコンサルティング株式会社
代表取締役社長兼CEO
宮崎 晴人
HARU MIYAZAKI

ブランド戦略コンサルタント。主な専門分野は企業、商品、人材、CSR、IR。「ブランドによる経営課題の解決」がテーマ。米国シアトルの高校卒業後、慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年にハルデザインコンサルティング株式会社を設立。

【経営課題とブランド戦略vol.1】
商品のコモディティ化を避けるには

商品は、必ずコモディティ化します。
どのようなモノでも、いつかは陳腐化するものです。しかし、近年の課題は、モノ余りの世の中での激しい価格競争が、コモディティ化の加速に拍車をかけており、そのスピードは毎年のように速くなっていることです。

例えば、デジタル家電を代表する液晶テレビ。数年前は、高嶺の花のような価格だったことを覚えているでしょうか。今では、中国製品の安売りも相まった急激な価格下落により、誰でも手が届くようになりました。26インチの液晶テレビでは、国内大手メーカーで8万円台、アジアメーカ-では6万円台の価格です。数年前に30万円で売られていたこの商品が、昨年は15万円前後になり、今年はその半値で販売されていることを考えると、嘘のような下落率です。この低価格は、企業努力と評価すべきことなのか、それとも過当競争と呼ぶべきなのか。事実に注目すると、この価格下落が原因で、2006年に国内大手メーカーは大幅な赤字を計上し、2007年は当時価格競争を仕掛けたアジア勢が大幅赤字を出す事態となっています。「何と馬鹿げた競争か」と客観視してしまいますが、それほどコモディティ化のスピードが速く、一流企業であっても予測できない、非常事態的な課題なのです。

このような価格競争が、最終的に行き着くところはどこなのか?
まず、最初に考えられるシナリオは、この逆オークション的な価格下落に耐えられなくなった企業は次々と白旗を揚げ、最終的に2~3社が市場を構成するようになるでしょう。しかし、この手法は、コモディティ化に真正面から挑む戦略であり、これが可能な企業は、効率主義を得意とする一角です。その代表格である DELLも、必ず入ってくることでしょう。
シナリオ2は、コモディティ化市場で戦うことを見限った企業が、逆トレンドに乗った商品を出して来ます。市場の法則では、安さが極まると、その反対の高価格な商品が、必ず出現します。大衆向けの26インチ市場は捨て、より高価格のプレステージ・ブランドで勝負する戦略です。プレステージ・ブランドの良い点は、スケールメリットがない分、不特定多数向けの広告費をかけずに高い利益率を実現できます。
また、シナリオ3は、全く違う新基準を打ち立てることです。現在開催中のCEATEC JAPAN 2007では、ソニーから有機ELを利用した薄さ3mmの次世代ディスプレーが発表されています。ソニーは、プラズマテレビからいち早く撤退し、プラズマや液晶の覇権争いの次のステージに意欲を見せています。

このように、市場のコモディティ化を止めることはできませんが、シナリオ2と3の方法で避けることは可能です。そのキーワードは、「商品のプレミアム化」です。
ブランドの価値の高さを表現する言葉として、ブランド・プレミアムという言葉があります。ブランド・プレミアムは、文字通り、他社商品との比較の中でプレミアムが存在するかどうかが問われます。例えば、音響メーカーのBang & Olufsenは、アーティスティックなデザインや、独自の音へのこだわりがあり、ブランド・プレミアムが高いと言えます。ブランド・プレミアムが高いと、競争相手がいなくなりますから、価格が自由に設定でき、利益率も高くなります。コモディティ化が企業の限界価格を試す現象に対して、ブランド・プレミアムの向上は購買者の限界価格を試すことになります。

したがって、コモディティ化対策の重要な点は、
1)自社の商品がコモディティ化していないか確認する
→多くの場合、それはコモディティ化しています
2)コモディティ化を察知したら、それを避ける対策をいち早くスタートさせる
→ゆっくりでは、自社の限界価格を試されることになり、確実な採算割れが待っている
3)競合他社と徹底的に差別化し、ブランド・プレミアムを高める
→企業のブランド・アイデンティティも含めた、明解なブランド戦略が必要です

商品は、必ずコモディティ化します。しかし、駒を読む人は、これを上手に避けて進むのです。

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