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Webビジネス戦略レビュー

WEB BUISINESS STRATEGY REVIEW

【ブランドを創る vol.3】
欲する情報を与え、メディアを確立する

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2007/01/22

<欲する情報を与える>

メディアの原則は、大衆が欲する情報を与えること、と古くから言われています。
「人々の暮らしを豊かにする情報」でも、見てもらえなければ価値がありませんから、本音のところは「人々に見てもらえる情報」であることがメディアの存在意義でしょう。したがって、メディアは必ず大衆が欲する情報を探しています。ファンを多く持つメディアは、トレンドや時事的な話題を研究し、今この瞬間ならどのような話題が大衆の興味を引くのか、を知り尽くしているのです。

例えば、スキャンダルは、大衆の興味を多いに引きます。一旦スキャンダルが表に出ると、マスコミは次々とさらなるネタをほじくり、それを見る大衆は確実に興味をそそられるという連鎖現象が起こります。また、工事現場のクレーン車が横倒しになるニュースが毎日のように流れたり、ビルの看板が落ちたという事件が連日報道されるのも、その時大衆が欲している情報だからです。きっと、ビルの看板は毎日どこかで落ちているのでしょう。そのような小さな話題をメディアが取り上げることはおかしなことですが、大衆が「また落ちたのか」と興味を引くのであれば、その興味の火が消えるまでメディアは積極的に取り上げようとします。
これが、メディアは大衆が欲する情報を与える、定型的な例です。

もし私たちが、大衆を相手にメディアを作るのであれば、上記のようなネガティブな話題も取り上げざるを得ないでしょう。しかし、ここでお話ししているのはターゲット・マーケティングによるブランドつくりです。世の中の人々全員に見てもらう必要はなく、私たちがターゲットにしたい潜在顧客だけに見えもらえば良いのです。ですから、上記の例は、あくまで分かりやすく説明するためのもので、ブランドとしては品位があり、ポジティブな情報提供が理想です。
しかしその場合でも、「ターゲット顧客層が欲する情報を与える」ことがメディアの原則であることを忘れないことが重要です。

<時事的な話題とベーシックな話題>

さて、本題ですが、ターゲット顧客層が欲する情報は、大きく分けて以下の2つがあります。

1)時事的な話題
2)ベーシックな話題

なぜ時事的な話題とベーシックな話題の2つの情報が必要なのでしょうか。
ここで一つ例をお話しします。
多くの方々がご存知であるブランド企業、ルイ・ヴィトン。この企業は、毎年ファッショントレンドを押さえた新作を発表し、世界の人々の注目を集めています。新作こそが、彼らの時事的(トレンド)な商品です。その商品を広く発表することは、時事的なコミュニケーションになります。一方、ルイ・ヴィトンの売上のほとんどが、モノグラム・シリーズやエピ・シリーズなどの昔からある定番商品であるという意外な事実です。これがベーシックです。彼らはベーシックな商品を大々的に宣伝することはありませんが、いつも取り揃えているという情報は流しています。
つまり、新作が人々の注目を集めるものの、最終的にに顧客が手にする商品はベーシックなのです。ベーシックだけでは注目度が足りず、新作だけでは購買が広がらない。ルイ・ヴィトンはこのバランスを高度に実践することにより、世界で屈指のブランド企業として毎年成長を遂げています。
さて、メディアでも同じ方法が通用します。時事的な情報とベーシックな情報を巧みに提供することにより、お互いを補い、ターゲット顧客の心をつかみます。私たちが少しでも強いブランドを築きたいと願うのであれば、彼らの原則を大いに取り入れるべきです。

さて、実際に1)と2)それぞれがどのような情報か説明をしたいと思います。
1)の時事的な話題とは、世の中のトレンド情報です。
「顧客情報漏洩」とニュースで流れれば、皆そのキーワードを検索します。「ミクシィ」が流行れば、みなミクシィの情報を探します。それはあたかも、株式投資の初心者が、人気株に群がり、買い手が買い手を呼ぶ姿に似ています。そしてその欲求はいつか頂点を打ち、誰も見向きもしなくなると、次の人気株に火が付き始めるのです。情報の世界であれば、どこでも全く同じことが起こっています。
これを支配するには、今流行っている情報を扱っても、終盤はすぐそこですので、疲労が重なるだけで意味がありません。私たち自身がトレンドを見極め、来るべき情報の波を的確にキャッチし、先駆けて情報を発信するメディアをつくる必要があります。同時に、本来は自らの専門分野に関する情報ですので、メディアをつくる、つくらないに関係なく、プロとしてターゲット顧客に接するのであれば、興味を引くだけの時事的なネタを日頃から用意することは、営業活動として当たり前のことです。しかし、なかなか営業マンが全員勉強熱心とも限りませんので、メディアをつくることが自社のセールスを大いに補強することになります。

2)のベーシックな話題とは、辞典のことです。
理由は、ユーザーは1)のトレンドの言葉を検索する一方、ベーシックな言葉も検索するからです。
ここで気をつけるべきことは、つくるべきは「辞典」であって、「辞書」ではありません。子供の頃、百科事典がお気に入りの本であった人は多いと思いますが、辞典は見ていて面白いものです。しかし、辞書は見ても面白くありません。面白くないとどうなるかと言いますと、検索エンジンには引っかかりますが、顧客の心には引っかからないということです。SEO対策でキーワード集をオフィシャルサイト内に設ける企業がありますが、検索順位は上位になりますが、広告効果はほとんどありません。ボランティアとしては素晴らしい行為ですが、このような安易なことですぐにリターンが上がるほど、セールスは簡単なことではないのです。したがって、同じ時間と費用をかけるのであれば、もう少し創造力を注ぎましょう。
例えば、アンチエンジング化粧品のメーカーがベーシックな話題を提供するとしたら、アンチエイジングに関する基礎的な知識を、誰でも分かるように編集した情報をつくります。本に例えるなら、「保存版!アンチエイジングの実践」に収められるような内容です。ここで重要なことは、商品の紹介だけでなく、ノウハウを教える実用書を編集する方が、ユーザが欲する情報です。役に立つ情報と、自社の商品を織り交ぜて実用書を作ることにより、好意的な認知が形成され、ブランドが向上して行きます。

1)と2)ともに実行をするには、自社がターゲットとする顧客層が日頃どのような情報を探しているか調査をするとともに、ターゲットに向けたメディアをどう企画・編集するのか、社内でブレーンストーミングを重ねることが大切です。また、戦略が完成したら、それを実践するための良きパートナー会社を探す必要もあるでしょう。

さて、一つだけ足りないものがあります。
それは、「主張」です。ブランド・メディアとして、顧客層の心に響く主張を混ぜる必要があります。それは、自社のフィロソフィーを世の中に広く浸透させるチャンスであり、顧客に提供できる真の価値を訴えることであります。この主張を独自メディアに吹き込むことにより、情報はまるで生命のような威力を持ちます。
主張とは、ブランド・マーケティングで言う「ポジショニング」です。他社との差別化です。
次回は、このポジショニングについて少しお話ししたいと思います。

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