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時価総額8000億円の大手ソフト会社とクラウドベンチャーの提携は新時代の予兆か

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2013/09/12

時代の主流は明らかに、クラウド型ビジネスサービスです。
2009年にスタートした、米国ボストンを拠点とするテクノロジーベンチャー企業「GrabCAD」もその一つです。CADエンジニア向けのコミュニティを基盤に、クラウドベースで技術者同士がデザインやCADモデルを交換するプラットフォームを提供しています。既に、GrabCADのサイトでは、全世界で70万人の技術者が登録し、24万点のCADモデルが公開されています。そして最近、時価総額8000億円の世界的な大手デザインソフト会社、Autodesk社と戦略提携し、これによりソフト業界そのものが大きく変わると予測されています。

これまで私的な仕事データを、見知らぬ誰かと共有すると言う発想はありませんでした。
特に、エンジニアにとって、CADモデルは作品であり、ある意味、自身の著作物です。しかし、技術発展のスピードが早くなるにつれて、エンジニアの仕事は複雑になり、日々、膨大な作業量をこなさなければなりません。もはや、ゼロからCADモデルを作る時間が、あるように見えません。

しかし、もしかしたら、世界のどこかで、自分がこれから作ろうとするCADモデルを、既に作ったエンジニアがいるはずでは?もし、そのデータを土台に仕事をすれば、二度手間を省いて、何倍も速く仕事が進むはずでしょう。つまり、世界中のエンジニアが互いに助け合えるならば、エンジニアの世界は、もっと効率的に仕事ができる訳です。

GrabCADは、こうした夢の世界を実現しています。
GrabCADに登録している70万人のユーザは、自由に、クラウド上でユーザが公開している24万点のCADモデルをダウンロードできます。さらに、大手デザインソフト会社、Autodesk社と提携したことで、Autodesk社のソフトであれば編集機能も使う事ができます。こうなると、もはや、場所も時間も超越した、エンジニアにとって新たな仕事のプラットフォームが誕生する事になります。

こうしたクラウド型ビジネスサービスが、なぜソフト業界を大きく変えてしまうのでしょうか。
それは、一台のPCに対し、1つのソフトウェアが必要であるという、従来の概念が崩壊するからです。PCにソフトウェアをインストールする必要がなくなる時代に、ソフト会社はどのようにしてソフトウェアを販売するのでしょうか。既存業界の大手であればあるほど、恐ろしい状況が待ち受けています。

Autodesk社が、クラウド型サービスを提供するGrabCADと提携する理由は、そこにあります。
ベンチャー企業であろうとも、既に世界中のCADエンジニアを70万人も抱えているのです。Autodesk社にとって、この70万人はまさに中心的な顧客層であり、ソフトウェアをクラウド型サービスとして販売することで、新時代の販売網を構築したい思惑です。
また、GrabCADにとっては、Autodesk社のような事情を抱えるソフトウェア会社は世界にまだまだ存在することから、今後はGrabCADをプラットフォームとしたクラウド型ソフトウェア販売を強化し、アップルのAppストアのようなビジネスモデルを実現する計画です。

CAD業界だけでなく、ほぼ全ての業界において大変革をもたらす予感がする、クラウド型ビジネスサービス。
ITベンチャーの潮流は、不特定多数を相手にするメディア型サービスから、特定のユーザに専門的なサービスを提供するビジネスサービスへと移行しようとしています。

GrabCAD
http://grabcad.com/

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