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なぜ米Yahooは高校生CEOのニュースApp会社を30億円で買収したのか

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2013/09/02

日本のGunosyやvingowなども含めて、世界的にカスタマイズ型ニュースAppsに注目が集まっています。
特に、今年前半に米Yahooが、若干17歳のCEOが運営するニュースApp会社「Summly」を、30億円で買収したのは衝撃的なニュースでした。しかし、Yahooは買収完了後、間もなくして、ユーザがいるはずのSummlyのメインサービスをすぐに閉鎖したのです。さらに後日、Summlyのアルゴリズム技術は、社内で開発されていなかった事が発覚しました。YahooのCEOマリッサ・メイヤー氏はどのような思惑でこの買収を行ったのか?また、今後のニュースApps業界は、どのような発展を遂げるのでしょうか。

もはやインターネット世界は、ニュースの海と化しています。
主要なニュースだけでなく、業界ニュースやソーシャル系ニュースは、その何倍もの量を日々発信しています。一方で、ユーザが持っている時間は昔と変わらず、一日24時間です。仮に、興味があるジャンルのニュースしか読まないと決めても、その量は膨大であり、毎日全てに目を通す事は時間的に不可能となりつつあります。

このような時代になると、Summlyのようなサマライズ型ニュースAppが必要になります。
ニュースの海の中から、自分の気に入りるニュースを、たった数百文字にまとめて配信してくれるサービスです。しかも、現代人はデスクに座ってゆっくりニュースを見る時間もないので、電車内の時間や、待ち時間を利用してニュースをチェックするため、デバイスはiPhoneなどのモバイル端末となります。したがって、ネットの世界でニュースと言えば、当然Appsが主戦場になる訳です。

Yahooのマリッサ・メイヤー氏がSummlyを買収したのも、こうした時代に合わせたモバイル部門の強化のためです。
しかし、買収後の一部の報道によると、Summly自体は収益がほとんどなく、会員数もYahooにとっては魅力的な規模でない上に、SummlyのCEOだったNick D'Aloisio氏を含め、技術チームのほとんどがSummlyの根幹となるアルゴリズムの開発を担当しておらず、別の会社が開発したことが明らかになりました。また、引き続きYahooのモバイル部門で活躍するはずのNick D'Aloisio氏は、まだロンドンの高校に通っているなど、Yahooによる買収意図に疑問が投げかけられました。

実際のところ、Nick D'Aloisio氏がSummlyの初期技術のコードを書いた事は間違いないようですが、その後はSRI Internationalが開発を担当したようです。SRI Internationalと言えば、スタンフォード大学の研究所から始まった、世界で最も大きな研究機関のひとつです。近年では、自然言語処理のSiriを開発し、後にアップルによって買収されたことが有名です。
今回もSRI Internationalは自然言語処理の分野で、Summlyのアルゴリズムを開発し、Siriをアップルに技術移転したように、Summlyのコア・テクノロジーをYahooに技術移転したとされています。つまり、買収取引があったのは、SummlyとYahooと言うよりも、事実上、SRI InternationalとYahooの取引だったと言えるでしょう。

マリッサ・メイヤー氏によると、今回の買収は「サマライジング・テクノロジー」が狙いだと言います。
サマライジング技術は、YahooファイナンスやYahooスポーツなど、ネットポータルとして様々なニュースを配信するYahooにとって大きな意味を持ちます。さらに、今やYahooのコアユーザはモバイルユーザとなっており、PCよりも格段に小さいモバイル画面で、いかに効率よくYahooを体験してもらうかが、今後の経営のカギとなります。「パーソナライズされたニュース配信は、Yahooにとって中心的な顧客体験になり、いずれ大きな存在になる」とメイヤー氏が言うように、これからのポータル事業者にとって、ニュースApp技術の導入は必須となって来るでしょう。

そうすると、日本のGunosyやvingowも、いずれはポータルサイトに導入されたり、連携する日が近いと言えるでしょう。

Summly
http://summly.com/

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