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【IT時代のブランド戦略 vol.05】
日本酒「獺祭(だっさい)」のブランド戦略

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2013/06/25

この20年間で、半分以下の生産量になってしまった日本酒業界。
その中で1社だけ、10年間で売上を8倍にも伸ばした驚異的な酒造メーカーがあります。「獺祭(だっさい)」で有名な、山口県の旭酒造です。2001年9月期の売上高は2億8600万円だったのに対し、2011年同期は16億6700万円と大きく飛躍しました。その背景には、商品ブランドを「獺祭」一つに絞り、ブランド価値を高めたことが勝因だと言われています。

今年5月、旭酒造は、東京八重洲にある東京スクエアガーデンに、初めての直営店として「獺祭bar23」を開店させました。店名の「23」は、旭酒造の主力商品である「獺祭 磨き磨き二割三分」から引用したものです。
旭酒造は、このような直営店計画を海外にも広げようとしています。既に、ニューヨークで出店計画が進行中の他、今後はヨーロッパにも進出する予定です。人気ブランド「獺祭」のグローバル戦略です。

「獺祭」が他の日本酒ブランドと大きく違うのは、単一ブランドで勝負しているということだけでなく、その独特な飲み方の提案です。従来より、日本酒はおちょこで飲むのが常識でしたが、「獺祭」はあえてワイングラスで飲むことを勧めています。その理由は、純米大吟醸でしか造られない「獺祭」の味わいにあります。芳香が華やかで、口当たりは絹のごとく、フィニッシュは長い余韻を楽しませる、それはワインに通じる味わいの体験ができるからです。

この飲み方に共感したのは、日本の「獺祭」愛好家だけではありません。
アメリカ、ヨーローッパにおいて、現地の日本酒愛好家から、絶大な支持を得ることに成功しました。元々、ニューヨークのような世界の一流品が集まる街では、日本酒(SAKE)は、シャンパンと同じくらい特別でお洒落な飲み物として扱われています。その中でも、欧米文化にマッチした飲み方を提案した「獺祭」は、群を抜いて人気を集めました。
アメリカ最大の日本食材輸入会社である共同貿易社とのコラボレーションでは、日本食ブームに湧くニューヨークにおいて、一流の社交場として使われる数々の有名レストランに進出することに成功。現地での「獺祭」の知名度を大きく広げました。

なぜ、単一ブランドが強いのか?
それは、経営資源を分散させずに済むからです。
多くの企業が、多様化する消費者の要望に対応するという名目で、複数のブランドを立ち上げるマルチブランド戦略を行います。しかし、一つのブランドを立ち上げる時間と労力は、その都度同じだけ必要となり、これが複数あるとブランド戦略の威力そのものが薄められてしまいます。

「獺祭」のファンは、日本国内に留まりません。たった一つのブランド展開でも、海外に目を向ければ、欲しくても手に入らない国は山ほどあります。要するに、広い視野でビジネスを考えれば、経営資源を一点に集中させたブランドが、最も著しい成長を遂げることは明らかです。毎日のように情報発信を心がけている「獺祭」のホームページを見れば、いかに彼らが日頃から広く活動をしているかが分かります。
以前紹介したスターバックスも単一ブランド展開ですが、その威力は世界で証明されています。「獺祭」もいつかスターバックスのように、世界中で知られるブランドになることを、日本人として心から願います。

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