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【IT時代のブランド戦略 vol.02】
スターバックスのブランド戦略がこれからも勝ち続ける理由

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筆者近影

宮崎 晴人(ハルデザインコンサルティング株式会社 取締役会長)

2013/05/30

スターバックスの躍進が、多くのメディアに取り上げられています。
2013年3月期決算で、2期連続で過去最高益を更新したスターバックスジャパン。店舗数も1,000店舗目前となり、本拠地の北米に次ぐ規模となっています。一方、大部分の記事では、今後の展開として「1,000店舗越えで、ドトールと2強になる」だとか、「単一ブランド店舗の限界で、マルチブランド店舗が必要」など、あくまで外食業界の常識で論じられています。
しかし、スターバックスのブランド戦略が最もパワフルになるのは、これからです。その本命は、プリペイド機能やモバイルアプリを駆使した『スターバックスカード』なのです。

2008年7月16日のWebビジネス戦略レビュー「なぜスターバックスは減速し始めたのか」の中で、当時の北米スターバックスの減速と、その後の復活のシナリオを考察しました。記事の中では、継続的拡大のためには、コーヒー以外のファンを創出し、カフェ色を強めることを提言をしています。
実際に、2009年の業績は伸び悩みましたが、2010年からは回復軌道に乗り、最近ではジュースメーカーのエボリューションフレッシュ社や、スペシャリティ紅茶のティーバナ社、ベーカリーチェーンのラ・ブランジェ社を買収し、コーヒー以外の商品の充実に動いています。

これら商品選択肢の充実と品質の向上が、スターバックスファンを飽きさせず、店舗増加の基盤になっていることは、日本においても北米においても間違いありません。
しかし、一概に店舗数だけでライバル各社と比較するだけでは、スターバックスの真のブランド戦略は語れないでしょう。スターバックスのブランド戦略は、『スターバックスカード』によって、従来の外食業界の常識を超えた発展を遂げる可能性があるからです。

スターバックスカードとは、いわゆるプリペイドカードです。キャッシュレスでスターバックス店舗を利用でき、1枚のカードに1,000円から30,000円まで、好きな金額を繰り返し入金できるシステムです。
一見変哲もないプリペイドカードに聞こえますが、実は、凄い威力を持っています。

北米スターバックスは、2013年の第一四半期だけで、顧客からのスターバックスカードへ入金が、約10億ドル(約1,000億円)を突破。前年対比で25%増という、システム導入以来の史上最高額を記録しました。10億ドルと言えば、ちょうどスターバックスジャパンの総売上に匹敵する額です。
このスターバックスカードですが、現在でも約38億ドル(約3,800億円)の未使用残高があり、将来の売上転換を待っている状態です。そして2013年の期末までには、総売上の10%がスターバックスカードによってもたらされ、次年度以降も上昇傾向は続くと予想されています。

このスターバックスカード、具体的に会社にとってどのようなメリットがあるのか。
明らかに、キャッシュフローは大幅に改善します。これを原資として、さらなる企業買収も可能になりますし、多少の景気の波があったとしても乗り越えるだけの事業体力が生まれます。

しかし、スターバックスカードの威力は、これだけに留まりません。
その真髄は、モバイルアプリやWebサービスと連動し、ビッグデータ分析ができることです。

既に、スターバックスジャパンでもサービスを開始している『My STARBUCKS会員』。名前、生年月日、性別、住まいの都道府県などを登録すると、特典や優待情報がもらえるサービスです。スターバックスにとっては、優良顧客に対してロイヤルティサービスを展開できるので、これまで以上に密なファンサービスが実現できます。

同時に、これらスターバックスカード登録顧客が、いつ、どの店舗で、何の商品を、どれだけの頻度で買ったかは、データを分析すれば分かるので、ビッグデータ分析にも活用できます。これにより、どのような顧客が何の商品を気に入っているのか、一人の顧客がどの商品を何度も購入しているのかなど、従来のPOSデータ分析で分からなかった『誰が』という情報が明確になります。
このデータを有効活用する事で、店舗の効率運営と『個客』サービスを両立できますし、統計学を使えば、より確実な新規店舗展開も可能になります。

つまり、スターバックスのブランド戦略は、単に、ある商圏におけるコーヒーショップ同士の競争に終始するのではなく、現代の最先端テクノロジーを駆使して、『個客』サービスの充実をブランド成長の原動力としているところに、他社との大きな違いがあるのです。

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