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慶應義塾大学 福澤諭吉記念文明塾

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福澤文明塾生のコミュニケーションツールとしてクローズドSNSを活用

福澤諭吉記念文明塾 事務局 澤藤正哉氏

2008年慶應義塾創立150年にあたって開設された、福澤諭吉記念文明塾。福澤文明塾は、学ぶ志があれば、半学半教の精神のもと誰でも学ぶことができる、という私塾の原点に還った、学生から社会人まで慶應義塾に関わりがない人でも参加できるプログラムです。3か月で1期、50名が参加、2008年に試行期として0期がスタートし、以来2013年10月現在は第10期が開講しています。
福澤文明塾では2008年当初より、塾生のコミュニケーションをより活発にするためにクローズドなSNSを導入しています。現在の運用方法とその効果について、事務局の澤藤正哉氏にお話を伺いました。

慶應義塾ではいくつかの社会人向け、塾外の方向けのプログラムがありますが、福澤文明塾はまた特徴的な理念がありますね

はい。福澤文明塾には大きく分けて、3つの理念があります。1つは「私塾の原点に還る」ということ。約150年前、福澤諭吉先生が塾を開いたときには、塾は身分に関係なく、学びたいものが学ぶことのできる場でした。学ぶ意欲があり、社会に貢献したいという意志がある方に集まっていただいています。2つめに「半学半教」であること。教える側と学ぶ側が常に固定されるのではなく、一歩先んじて学んだ者が教える側になり、また別の時には違った者が教える側に回るという、まさしく学び教え合う関係です。そして3つ目に「社中協力」であること。福澤文明塾は経済的な負担を理由に学ぶ機会を失することがないように授業料はいただいていません(必要な費用はプログラム運営費の35,000円のみ)。
現在開講中の10期まで、毎回とても意欲のある方々に参加していただいています。

参加される方はやはり慶應義塾の関係の方が多いのでしょうか

期ごとの募集人数は全体で約50人で、そのうち、学生と社会人の割合は、3:2くらいになることが多いです(特に割合は決めていません)。男女比も同様に3対2くらいでしょうか。他大学学生や卒業生も多くなりました。他大学の学生の中には、関西方面から参加した方もいました。社会人の方の属性も実に多様で、弁護士や会計士、企業の経営者から会社員、そしてアナウンサーや自衛官の方などもいらっしゃいます。10代の学生から60代の方まで、年代もばらばらですね。

福澤文明塾ではどのようにSNSサイトを活用されているのですか

福澤文明塾のプログラムは約3か月です。原則として、木曜日の夜と土曜日の午後にクラスがありますが、この3か月の間に全員が集まることのできる時間というのは、90時間強くらいしかないのです。しかもそのうちの半分ほどは、講師の方の話を聞いている時間です。つまり「対話と議論」をモットーとしている福澤文明塾としては、圧倒的にその時間が足りないのです。さらに、クラスのほかにグループワークもあり、3か月の間にひとつのテーマについてグループ内でディスカッションをして提言をする、というワークもあります。
そこで活用されるのがSNSです。

具体的なクラスの流れとSNSの使い方を教えてください

まず、それぞれのセッションの前に課される事前課題の回答を塾生全員にSNSに投稿してもらいます。他の塾生がどう考えているのかを互いに知ることができますし、講師もそれを見ることができます。そのように事前準備ができているので、クラスでは講師との直接的な対話に集中することができます。そしてクラスの後では、クラスがどうだったのか振り返りをSNSに投稿していただきます。こうしてお互いに学び合い、対話と議論を行うことこそが福澤文明塾の目指すところです。
先ほどお話したグループワークについても、全員が集まって話をする時間を多く確保するのは難しいので、SNSを活用してもらっています。
いま福澤文明塾にはSNSは欠かせないツールになっています。150年前にはインターネットは存在しませんでした。現代において、SNSを活用するのは「対話と議論」をより積極的に実践するためです。150年前もいまの福澤文明塾も、その目的は変わりません。

もうひとつSNSを活用する理由として、福澤文明塾は、個人の成長だけではなく、参加している50人が「期」としてどのくらい成長するのかということを考えているという点があります。そのため、文明塾生には、自分の中で思ったことや考えたことを、出し惜しみせず、全て出してほしいと伝えています。そのためSNSでは、日記やコメントなどを通して、互いの思いや成長を垣間見ることができます。

福澤文明塾のSNSにはどのような機能があるのでしょうか

中心になっているのはコミュニティ機能です。 各期ごとのコミュニティが用意されており、入塾すると自身の期のコミュニティにまず登録されています。そして、各セッションの事前課題がコミュニティのトピックとして立てられ、提出もその中で行われます。
その他にも、修了生専用や有志により結成されたものなど様々なコミュニティがあります。
また、日記の機能もかなり活用されています。セッションでは振り返りを行うという事後課題が出ることもあり、個人的な日記だけでなくその提出などでも利用されています。
その他に、書籍やDVDなどのレビューを投稿する機能もあります。コミュニティや日記ほど活発なものではありませんが、投稿好きな塾生に活用されています。

修了生専用コミュニティについて教えてください

修了生専用コミュニティ
「えにし」

福澤文明塾の目的は、修了生を出すことにあると言っても過言ではないと思っています。開塾10年が経つと修了生の数は約1000人となります。未来貢献の志ある1000人の修了生がいることで、社会に風を起こせないか。そう考えています。
修了生には、福澤文明塾会という同窓会組織があり、そちらには全員参加していただくのですが、SNS内にも修了生専用のコミュニティがあります。
そちらでは、修了生たちが自分たちでセッションを企画したり、朝活や各種勉強会を開いたりと積極的に活動しています。また開講中のクラスにも参加することができ、他の期のコミュニティにも参加できるので、ひとつの期は50名ですが、あるコミュニティには100名が参加していることもあります。
塾生と修了生のコミュニケーションが図れるのも福澤文明塾の魅力の一つだと思います。

Facebookなど外部のSNSも検討されましたか

SNSをスタートするときには、Facebookなどの外部のSNSも検討しました。しかし社会人のみなさんのなかには、会社からFacebookに接続できない方もいますし、3か月という限られた期間に、特定のメンバーだけで濃密なコミュニケーションをとっていただくということを考え、クローズドなSNSを利用することにしました。福澤文明塾のSNSは、Facebookのような高機能ではなく、機能は最小限にしてありますから、それなりの制約もあります。しかしオープンなFacebookと違って、文明塾の塾生としてのコミュニケーションに集中していただくことができますから、返ってクローズドな独自のSNSにして良かったと今は思っています。

今後SNSやインターネットに期待すること、これからの福澤文明塾について教えてください

細かな機能の追加はもちろんですが、よりコミュニケーションを活発化するにはどうすればよいか考えていきたいですね。まだすぐには導入できませんが、動画の活用も検討したいと思っています。
福澤文明塾の今後については、私的な思いも入りますが、質の高いプログラムを展開することで、志ある修了生を輩出しながら、しかるべきタイミングで、修了生と共に世に問うような行動を取るということでしょうか。「活用なき学問は無学に等し」という福澤の言葉があります。修了生の協力を得ながら、「行動」を伴う組織になっていければ良いなと思っています。

開発運用担当より

福澤文明塾のSNSサイトは、SNSのオープンソースであるOpenPNEとMovable Typeによって構築されています。 事務局からのお知らせには、全体に向けたものや特定の期のみに向けたもの、修了生全員へ向けたものなどターゲットが様々なのですが、ユーザごとに必要なお知らせのみを表示させることは、OpenPNEに備わっている機能ではできませんでした。そのため、事務局からのお知らせの管理にMovable Typeを使用し、OpenPNE側で連携できるようカスタマイズすることで、それを実現しました

個人の日記には元々コメントをする機能があり、やはりコメントという形で目に見えるリアクションが返ってくることは嬉しくもあると思うのですが、日記を書いてもコメントがつかなければ、もしかすると誰にも見られていないのではと感じて日記を書くモチベーションが下がってくる、という意見がありました。
コメントを書くというのが苦手な人もいるでしょうし、時間がなくコメントまで書いている余裕がないといったケースも考えられます。
そのための解決策として、気軽に押せるように「いいね!」ボタンを追加しました。
それにより、コメントはなくとも「いいね!」が付いていれば、少なくともその数だけの人は読んでくれているというのが視覚的にわかることとなり、日記の活用に貢献しているものと思います。

また、レビューについても、基本の機能では自身のレビューを投稿するのみでしたが、各レビューに対して個別にコメントを投稿する機能を独自に追加しています。

このように、使いながら出てくるユーザの要望を吸い上げながら、必要な機能だけを随時追加開発してきました。みなさまには、まずはできるかできないかではなくやりたいことをざっくばらんにお話いただき、その中で優先度をつけて、目的と予算に合わせた実現方法をご提案しています。継続してシステムを活用していただくには、このプロセスが大変重要だと考えています。

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